けまろう

ジェーン・ドウの解剖のけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

『ジェーン・ドウの解剖』鑑賞。友人に勧められて鑑賞したものの、怖すぎて漏らした。不気味で未知のものが人智を超えた存在であると発覚していく過程は、異常なほどスリリングであり、どうしても解を欲してしまう。本作はそうした人間の心理を、奇妙なほど美しい「ジェーン・ドウの死体」と「解剖」という手法で、そして遺体安置所という特異な舞台で見事に刺激している。
徐々に紐解かれていく死体と深まる謎、僅かなヒントで答えに辿り着くも関係者全滅という救いようのなさ。一瞬、ジェーン・ドウが「助けを求めている」死体であるという柔なハッピーエンドを予感させるも、一度の歩み寄りでは消え失せない、これまでの女性たちの恨みの強さ(なんたって、ジェーン・ドウは生前、拷問された挙句に悪魔にさせられているのだから!)を痛感するものとなった。彼女は魔女狩り・人身御供から続く女性蔑視の歴史を体現する存在なのかもしれない。
また、「呪い」と「科学(文明?)」の対決という点も見どころの一つだ。最新の解剖技術でようやく明らかになる死体の謎。呪いが解けるか解けないかの瀬戸際は、高度な技能戦を思わせる。遺体から出てきた布地に記されたヒントから、ヨブ記の魔女狩りまで辿り着くまでは、ミステリーさながらのトリック。個人的に一番盛り上がったかも。
しかし、ラジオから突如流れる聖歌隊の歌の不気味さと言ったら!「つらくても笑顔が大事」なんて、発信者であるジェーン・ドウのことを考えると鳥肌立ちまくり。久しぶりに心を揺さぶられた。
けまろう

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