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アンダー・ザ・シルバーレイクのcomaのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

LAといえばラ・ラ・ランド。夢が渋滞する街。渋滞を抜けられなかった沢山の夢見る若者はどうなってしまうのだろう…
という疑問の答えがアンダーザシルバーレイクにあるのだとしたら怖すぎます!

あの夜打ち上げ花火を見つめていた、行方知れずのサラ。
昼間の顔が想像もつかないようなパーティーの住民。
怪しげなエスコートサービスの女たち。
彼らはみんな、自分が美しくいられる時間も、自分の可能性も有限だと分かっている。刹那的だからこその魅力。

なにかしらのアーティストである主人公サムはあと5日で、家賃を滞納している部屋から追い出されてしまう。それなのにまだ現実と向き合うことが出来ずに、金策に走る訳でもなく知り合ったばかりのサラの行方を追うことに必死になる。
「いや家賃払おうよ!」
と思う。いや、段々と分かってくる。
彼は何者にもなれなかった自分ではなくて、社会を疑うことで現実から逃げているのだと。
「この世界は自分の手の及ばない強大な力によって支配されている!!」

都市伝説、サブリミナル、謎の暗号…どこまでが真実なのか、その境目が曖昧になってゆく。サムの見たいように世界が姿を変えてゆくから、どんな些細なメッセージも重大な意味を持って物語を進めていく。その謎解きの強引さが快感を呼び起こす、その感覚が面白い。

夢と現実、幻覚と現実、何度も何度も行き来する。特に彼の願望が剥き出しになる(彼はミュージシャンなのかな)ソングライターのシーンが興味深い。一瞬信じ込みそうになるけれど、そんなわけないじゃないか!!私は笑ってしまうけれど、あれはサムにとっての悲劇で、と同時に願望だ。カート・コバーンのギターが可哀想ね。

どこまでが現実か、もう殆ど夢と妄想のシーンなんじゃないかな。
LAの厄介者・スカンクの肛門腺の臭いに反応する/しないとかも判断基準かな?あれはおそらく数日ではどうにもならぬ臭いだから…ラストシーンでインコおばさまは臭いに言及してたね(つまり現実)
「今はハッキリ見えるわ」元彼女の看板が半分ピエロに塗り替えられている辺りからは特に…
「才能も金もないから、自分より裕福そうな誰かをパトロンにして生きていく」
ことを肯定するためにサラの居場所を脳内で捏造したのだとしたら、めちゃくちゃ滑稽だけど感心するね。人間の想像力は、自分の精神を守るためなら思わぬ翼を広げるものだと…

いやめちゃくちゃ面白い!鑑賞後あれこれ考えると止まりません~!自由度高すぎる(´∀`)

って分かったつもりになってるけど、サムの知った秘密が全部本当だったらどうしよう!怖い!(笑顔)
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