岡田拓朗

ビリディアナの岡田拓朗のレビュー・感想・評価

ビリディアナ(1960年製作の映画)
4.0
ルイス・ブニュエル監督特集にて。

キリストを神として崇拝し、教えを全うしていたビリディアナはキリスト教信者にとっては模倣的な存在として描かれてはいたが、それを切り裂くように神とは程遠い俗世で生きている人間からの裏切りや親族の死などの不幸極まりないことの連続。

それを共有できる者同士ではわかりあえるものも、それを全く知らない感情や欲望のままに生きる人間には全く通用しない。
人間の世界なんてそんなものである。

やはり無神論者のブニュエルは万人の行動の模倣となり得るような神的存在を否定し、その人それぞれの人間臭い行動が溢れていることこそがこの世界であることを証明しようとする。

祈っても教えを全うしていても全く救われないのであればそれはもう自分の意思で、見定めながら生きていく他ならないようである。

最後のカードシーンは2人になるべきなのに、救われない三角関係のような形で終わるのが作品としての統一性をより増していて最初から最後まで一貫してるなーという印象。淡々と強烈。
岡田拓朗

岡田拓朗