グレーのスーツ、地味なネクタイ、きっちりと整えられた髪。よく独り言を呟く神経質な男、田中。一見普通に見えるが、職業は大村組幹部というヤクザ者。時には素人をいたぶり、ケチな取り立てなど、若い衆がやるような仕事もこなす日々。独身だが、自分の情婦・芳江に素人娘を高級娼婦へと育てあげるようなことまでさせている。大村組の若頭でありながら、組長に疎んじられている田中は、危険な仕事ばかり回される日々に、苛立ちを募らせていた。そんなある日、組長の大村は、田中に新しい組を作れと命令する。上納金だけ絞り取り、跡目は若い倉内に継がせようとしていることを察する田中。もがき苦しみながら極道という修羅場をしたたかに生き抜こうと、田中は野心を燃やす――――。
「棒っきれのように生き、棒っきれの様にくたばる」人生に甘んじている大村組の中堅幹部・田中。ある日、組長命令で組の分家を命じられた田中は、本家に吸い取られる巨額の上納金と、それを工面するしの…
>>続きを読むあぶれ者たちの群像劇を通して逆照射される、もう一つの昭和史 アウトサイダーを描き続けてきた井筒監督の真骨頂にして集大成 社会から頭を抑えつけられ、飢えや冷たい眼差しに晒されながらも、何にも…
>>続きを読む高木昇はチンピラと喧嘩しているところを拾われて松岡組系新井組の若頭補佐・山川の舎弟になった。頭角を現していく中、高木は夫を亡くした極道の妻・良子と出会う。トラブルを経てふたりは結婚するが、…
>>続きを読む女衒を生業とする富田岩伍は、旅の途中で拾った少女・菊を連れて帰る。やがて菊が美しい娘となり、2人の息子もそれぞれ成長していたが、岩伍の妻・喜和の心痛は竜太郎の病弱と健太郎の放蕩だった。さら…
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