まりぃくりすてぃ

立ち去った女のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

立ち去った女(2016年製作の映画)
1.0
“監督の強い希望により”3時間48分ぶっ続け上映。それって、もしインターバル設けたら客の大半がそのまま途中で帰っちゃうからだよね。

まあ、それは半分冗談だけど、この作品、トイレの心配しなくっても全然大丈夫なのが笑えた。途中でトイレに立ったとしても、席に戻るまでの2分ぐらいの間だったら画面のなぁ~~~~~んにも変わってないもん。セリフも動きもほとんどないままだもん。(私は立たなかったけど。)

さて! こういうヘンテコ作品の一番カンタンなレシピ(つ・く・り・か・た)

① まず「ベン・ハー」(1959年 3時間32分)を一つ用意します。
② 「ベン・ハー」から素晴らしい場面をすべて削除します。(戦車競走、ガレー船、キリストがベン・ハーに水飲ませてくれるところ、ベン・ハーがキリストに水飲ませてあげようとするところ、等々ありとあらゆる名場面を。)
③ いっそチャールトン・ヘストンを消去しちゃいます。
④ 色・音楽・美女も取り払います。
⑤ ついでに、特定の民族や特定の病気への執着を、そして善悪二元論も除きます。
⑥ 些細orメロウな場面(例えば、重傷負った宿敵が死にかけて呻いてるところ、死の谷で病人たちがごそごそやってるところ、物陰から母と妹が懐かしい家を悲しげに窺ってるところ、酋長がガハガハ笑いながら馬を愛でてるところ、等々)を時間的に異常な長さ(10~100倍ぐらい)にまで引き伸ばします。カメラは基本的に引きで固定で。できるだけ夜ばかりにして。
⑦ オカマを一匹加えます♡
⑧ ラストシーンだけ、デザイン的にちょっと工夫します。

     ・・・・・・・できあがり。

ベンハー作ったアメリカが、こっち作ったフィリピンを植民地にしてたことは、当然重要。

映画って、ルビッチとかのサイレント時代に八割方良さが確立されちゃってて、1960年前後が頂点で、80年代を最後の峠に、その後は退化ばかりしてる気がする。特撮技術とアニメを除いて。

この映画が映画として魅力あるのは、取り調べ室でのオカマの毅然とした無言の所作だけ。毒入りのルージュ舐めて自殺するのかと思ったよ。