てっぺい

THE BATMAN-ザ・バットマンーのてっぺいのレビュー・感想・評価

4.0
【復讐する映画】
悪党へ、街に代わって“復讐”するバットマン。そのキーワードで、ヒーロー映画が全く違う重厚なサスペンスに。ド派手アクションと謎解き両方のドキドキ感は、ラストで最高潮に達する。できれば過去作を“復習”しておきたい一本。

◆トリビア
○ 2つの続編が計画されており、HBO Maxではスピンオフの前日譚テレビシリーズが開発されている。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/THE_BATMAN-ザ・バットマン-)
〇本作は当初、DCエクステンデッド・ユニバースとして、ベン・アフレックが監督、主演を務めることが決まっていたが、アフレックが離脱し、DCEUとのつながりもなくなった。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/THE_BATMAN-ザ・バットマン-)
〇リドラーは、ゾディアック事件(アメリカで実際に起きた未解決連続殺人事件)の犯人を元にしている。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/THE_BATMAN-ザ・バットマン-)
○ロバート・パティンソンは、バットマン・トリロジーでバットマンを演じたクリスチャン・ベールとレストランのトイレで遭遇。バットマンスーツを着たらトイレに行くのが難しいとアドバイスを受けた。(https://eiga.com/news/20220201/11/)
〇ロシアでの劇場公開は、ウクライナ侵攻を受けて、一時保留となった。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/THE_BATMAN-ザ・バットマン-)
〇撮影クルーの一人、方言コーチがコロナウイルスで死去。スタッフ一丸でそれを乗り越え、映画が完成した。(https://theriver.jp/the-batman-reeves-interview/)
○ キャットウーマンを演じたゾーイ・クラヴィッツは、2017年の映画『レゴバットマン ザ・ムービー』でもキャットウーマンの声を演じていた。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/THE_BATMAN-ザ・バットマン-)
○ ゴッサム・シティと広島県福山市が友好都市提携した。福山市はコウモリに縁がある。(https://eiga.com/news/20220221/13/)

◆関連作品
○ダークナイト・トリロジー(「バットマン ビギンズ」「ダークナイト」「ダークナイト ライジング」のクリストファー・ノーラン監督によるバットマンシリーズ3部作。プライムビデオ配信中)
○「ジョーカー」('19)(ジョーカーの生い立ちを描くクライムスリラー。個人的にはR100指定。プライムビデオ配信中)
○「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」('16)(ベン・アフレック版バットマン。U-NEXT配信中)

◆概要
バットマンシリーズリブート作品。
【監督】
「猿の惑星:新世紀(ライジング)」マット・リーブス
【出演】
「TENET テネット」ロバート・パティンソン
「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」ゾーイ・クラヴィッツ(ミュージシャン、レニー・クラヴィッツの娘)
「スイス・アーミー・マン」ポール・ダノ
「007」シリーズ ジェフリー・ライト
「トランスフォーマー」シリーズ ジョン・タトゥーロ
「マグニフィセント・セブン」ピーター・サースガード
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ アンディ・サーキス
「ダンボ」コリン・ファレル
【公開】2022年3月11日
【上映時間】175分

◆ストーリー
両親を殺された過去を持つ青年ブルースは復讐を誓い、夜になると黒いマスクで素顔を隠し、犯罪者を見つけては力でねじ伏せ、悪と敵対する「バットマン」になろうとしている。ある日、権力者が標的になった連続殺人事件が発生。史上最狂の知能犯リドラーが犯人として名乗りを上げる。リドラーは犯行の際、必ず「なぞなぞ」を残し、警察や優秀な探偵でもあるブルースを挑発する。やがて政府の陰謀やブルースの過去、彼の父親が犯した罪が暴かれていくが……。


◆以下ネタバレ


◆サスペンス
コミックヒーロー原作でまさかのサスペンスなドキドキ感。警官に検事に、ペンギンからファルコーネ、そしてついにはブルースの父まで、次々と暴かれていくその“嘘”。リドラーの“なぞなぞ”にブルース達が翻弄されながらその真理に近づいていく様がシンプルに面白かった。本作ではバットマンはダークヒーローというより、すでにポワロ的な一人の探偵だった笑。究極は、囚われたリドラーとブルースがガラス越しに対峙するシーン。これ以上何も出来ないはずのリドラーが見せる余裕の笑みには、何がこの後起こるのかと、見ているこちらも完全に翻弄される本作の山のシーンだった。

◆ブルース
過去作と比べて、バットマンの生い立ちを描くものでもなく、コミックヒーローのド派手さもない。ただこれはひたすら人間味のある、ブルース・ウェインの人間ドラマだった。彼が信条とした、街の悪への“復讐”は、最後の残党が“復讐だ”とつぶやいたように、結果的に復讐の連鎖を生んでいた。その事に彼が気づいた時、選択したのは復讐ではなく、被害者を救う事。誘導灯を焚いて市長達を誘導し、負傷者を運ぶブルースは、悪党を殴り殺しかける不安定さから、確実に街のヒーローとして前進していたと思う。

◆映画表現
冒頭でブルースが“シグナル”として夜空に灯したバットマークは、いつしか彼ではない“誰か”が灯すように。前述の通り、本作で重要なキーワードである“復讐”がそのフック。まさにブルースが“復讐”の証として悪党の目に刻んでいたあのマークは、逆に彼への“復讐”として悪党から灯される光に。リドラーだけではなく、あの残党達もあの光を灯していたのかも知れない。“復讐”が連鎖する事を、夜空に灯すバットマークでアイコニックに表現していたのがジワった。

◆アクション
空を飛ぶコウモリ姿のスカイアクションに、スパイダーマンを彷彿とさせてしまうワイヤーアクション。ゾーイ・クラヴィッツ演じるキャットウーマンの身のこなしも何気にすごかったし、何より最高だったのはカーアクション。幾台の車に向かって逆走するハラハラ感に、ペンギンの車越しに炎の中から現れるバットモービル。逆さのペンギン目線に、炎バックで歩み寄るバットマンの姿が超クールだった。


前述の通り次回作も決定済みだそうで、リドラーの同部屋で登場したジョーカー(ピエロという台詞を出したので間違いなし)がおそらく次作で大暴れ。ポストクレジットのGOODBYE”?”もニクイ演出だった!

引用元
https://eiga.com/movie/92523/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/THE_BATMAN-ザ・バットマン-
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