このレビューはネタバレを含みます
原題:The Batman
公開:2022年
🖤リドラーの部屋にあった計画書や写真
https://screenrant.com/the-batman-movie-riddler-plan-images/
🖤全体
闇時々赤いつも雨降りのゴッサムヴィジュアルに感心。作品を貫くトーン、俳優も構図も音楽も音響もゴツゴツした格闘もよい。クライムサスペンスとして幕を開け、ヒーロー誕生で幕を閉じる(続く)のもよい。
ただし、見所はあるけれど絶賛するほどでもないのはもどかしい。やっぱり3時間まんま体感3時間で長いよ。謎解き探偵モノとしても寄り道周り道が多いから、エピソードとキャラクターを絞り込んでほしい。謎が明かされても「だよね」だし。「おおおおッ」と興奮したり「ああああッ」と驚愕もなく、抑揚に欠けて。一番びっくりしたのエンドロールの「ペンギン:コリン・ファレル」だもん。
🖤バットマン=ブルース・ウェイン(演:ロバート・パティンソン)
私が観たことのあるバットマン実写作品は、ダークナイトトリロジー3部作、ベン・アフレックのDCEU版、ドラマ『GOTHAM/ゴッサム』と『Titans/タイタンズ』のみ。ロバート・パティンソンは適役、ビジランテ活動歴2年の設定もぴったり。
正義を貫く信念と裏腹に、復讐心に囚われ闇に病む顔。未熟で不安定。暴力の歯止めが利かないのも双眼鏡で女性の着替えを覗くのもリドラーの変態性とシンクロするのが興味深い。滑空して着地失敗も好き。
ペンギンとのカーチェイスではバットモービルと共に火炎の魔物と化すわ、表裏が目まぐるしい。それが終盤、発炎筒を掲げて市長市民を誘導するのも象徴的、ドラクロワの絵画「民衆を導く自由(の女神)」を想起、美しい絵だった。
🖤ジェームズ・ゴードン(演:ジェフリー・ライト)
ごめん。ジェフリー・ライトの顔見ると『ウエストワールド』の役の印象が強くて、いつ停止するか気が気でなかった。
🖤キャット・ウーマン=セリーナ・カイル(演:ゾーイ・クラヴィッツ)
彼女のキュートさは好きだし猫っぽさも◎なんだよ。でも行動原理が素直すぎ、バットマンにデレすぎ、妖しさ怪しさが足りない、スレンダーで拳や蹴りに説得力がない、マスクのデザイン他になかったのか…など惜しさ目立つ。
🖤リドラー=エドワード・ナッシュトン(演:ポール・ダノ)
安定の不気味さをまず褒めたい。彼の動機、ブルースの未熟と矛盾を突く言葉、同じ孤児扱い拒否もわかる。その実行力が何に支えられてるか不明でスポンサーでも居るのかな。作戦も途中から狙いどおりか偶然頼りかわからない。洪水テロもそれまでの「嘘を暴く」ポリシーっぽさがない。しかもゴッサムを飲み込むはずが限定的で収まっちゃうのもいまいちで「なにがやりたいんだ」となる。続編で「奴」と一緒に脱走するのだろうか。
🖤余談 NIRVANA - Something in the Way
カートの声。愛する音楽満開の91年。
海外では、NIRVANA『Nevermind』、Pixies『世界を騙せ』、PRIMAL SCREAM『Screamadelica』、The Orb『The Orb’s Adventures Beyond The Ultraworld』、SAINT ETIENNE『Foxbase Alpha』、SOUNDGARDEN『Badmotorfinger』、RED HOT CHILI PEPPERS『Blood Sugar Sex Magik』、DINOSAUR JR.『Green Mind』、MY BLOODY VALENTINE『Loveless』…
日本では、LA-PPISCH『ハーメルン』、上田現『コリアンドル』、P-MODEL『P-MODEL』、THE MAD CAPSULE MARKETS『P・O・P』、SOFT BALLET『愛と平和』、BUCK-TICK『狂った太陽』、DANCE 2 NOISE 001、SCHAFT、SEX『SECOND SEX』『S・E・X・S・E・X』、フリッパーズギター『ヘッド博士の世界塔』…ほかにもたくさん。
93年から94年。カートの自殺未遂、入院、脱走は日本でも報道されていて。数日後の遺体発見ニュースに泣いたのを想いだす。