翼

THE BATMAN-ザ・バットマンーの翼のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

バットマンの異常性をスポットする切り口は見事。
ヴィラン含めてコスチュームは彼しかおらず、警察には「素人を現場に入れるな!」とやっかまれ、報道には「覆面の男が救助しています」とコスプレ男扱い。どこに行ってもジロジロ見られる、ヒーローとはほど遠い存在。自称、ゴッサムシティを護るバットマンは、復讐心に取り憑かれた危ない自警団≒異常者だ。彼が深く深く闇に堕ちていく様はどこか引き込まれる。確かに、こんなヒーローは見たことがない。

探偵モノとしての謎解きは楽しめたわけだが、バットマンフォーエバー・ダークナイト・JOKERなど過去作がぶっちぎりの名作ばかりで比較の目は避けられない。そうなるとリドラーがヴィランとしてどうしても弱く感じてしまう。行動原理が今ひとつ掴めないことが原因か。バットマンへの復讐?執着?嘘を暴きたいのは歪な正義感?それともフォロワーからいいねが欲しい自己顕示欲?
リドラーはただのヤバいやつという存在を超えて、犯罪原理が魅力的であってほしかった。普通は敵役にこんなハードル無いわけだけど、過去の名優たちが余りにも眩し過ぎた…。最後にジョーカー出してシリーズを仄めかしてもダメ。本作の敗因は『バットマン後出し作品としてのハードルを超えられない』に尽きる。
翼