けまろう

わたしたちのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

わたしたち(2016年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

『私たち』鑑賞。原題の"The World of Us"が、まさに全てを物語っている。"Us"は恐らくいじめっ子グループのボナたちも含めた「私たち」だろう。学校における少女たちの世界は、大人が考えているよりずっと複雑だ。正論の通用しないスクールカーストを赤裸々に描きつつ、誰もが嘗ては目にしたであろう典型的な「いじめ」が画面いっぱいに繰り広げられる。夏休みの間、いじめられっ子のソナと友情を築いた転校生のジアが、夏休み明けにいじめる側に回っていたときの砂を噛むような苦い気持ちは、小学校におけるリアルな雰囲気が描写されているように感じた。
しかし、ジアも前の学校で虐められていたのだ。嘗てのいじめられっ子は、新天地でのいじめられっ子にどう接するのか、というのも本作の見どころのひとつであろう。ソナもジアも、スクールカーストの上位に君臨するボナのグループに目をつけられる。ソナもジアも、自分がいじめられることを恐れ、スクールカーストの上位に加わろうと、互いの情報をボナたちに流してしまう。それがきっかけで、ふたりの間にある溝が更に深まっていく。
主人公ソナの心情描写は爪の色に現れる。夏休みにジアと塗ったホウセンカの赤色と、通い始めた塾でボナに貰った市販の水色のマニキュア。自身に代わり虐めの対象になったジアに手を差し伸べるのか、それともボナたちについてスクールカーストの上位にしがみつくのか、揺れるソナの爪は気づけば赤色と水色がまだらになっていた。最終的に、爪に微かに残っていた赤色を見て、ソナはジアを庇うという選択肢に出る。わかりやすく、綺麗な終わり方。良作。
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