わたしたちのネタバレレビュー・内容・結末

わたしたち2016年製作の映画)

우리들/The World of Us

上映日:2017年09月23日

製作国:

上映時間:94分

4.1

あらすじ

小学校4年生の少女ソンはいつもひとりぼっち。終業式の日に偶然出会った転校生のジアと友情を築いていくが、新学期になるとその関係に変化が訪れる。さらに、共働きの両親を持つソンと、裕福だが問題を抱えるジアの、互いの家庭環境の違いも二人の友情に小さな暗い影を落とす。そんなある日、ソンは勇気を振り絞ってジアとの関係を回復しようとするが、些細なことからジアの秘密をばらしてしまう……。

「わたしたち」に投稿されたネタバレ・内容・結末

ユン・ガウン監督に要注目、まちがいなく世界的な映画作家になる。
長編デビュー作とは思えない、とんでもない才能と実力に驚かされた。
是枝裕和監督から影響を受けたらしいが、はっきり言って「子役を輝かせる演出力」だけでなく、映画作家の総合力として、既に上回っているかもしれない。
おそるべき韓国映画界の新星。

物語としては、突飛な方向に行ったりせず、ジワジワと起こるべくして嫌な展開が起こる感じ。
ベタといえばベタだが、韓国映画らしい「感情を深く掘る」脚本術なのだろう。
今作の「子供のイジメ」という題材に関しては、適切な語り口だと思うが、僕の希望としては、ユン・ガウン監督にはヨーロッパに行って、『ELLE』のような大人の「感情の不可思議さ」を描くことに挑戦してみてほしい。
人間観察力と、それを脚本と演出で描ききる作家力が、ハンパじゃないのは実証済みなので、大人の物語でも傑作をものにするだろう。

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とにかく、キャスティングが大成功。
主演のソン役チェ・スインちゃんを選び出した慧眼、監督の人間を見抜く力。
そして、その魅力を引き出す演出力。
映画の5割くらいはソンのアップだと思うが、これほどの時間、顔アップで画面がもつ役者は世界中いないんじゃないか、ずーーーっと観てられる顔。
ジアや他の子も良いけど、ソンが圧倒的なので一人勝ちかなと思っていたら、弟ユンが最後にとんでもない演技(?)を見せる。
僕の今年の主演女優賞と助演男優賞は決定かも。
例えば『アウトレイジ』など、役者の“イイ顔”を観るのは映画の醍醐味だが、本作はズバ抜けた“イイ顔”の傑作だ。

撮影が、優しくて強い。
もしかして、スタンダードのレンズ一種類しか使ってないんじゃないか?と思う。
シンプルだけど硬くない構図。
ボケと、カラフルだがくすんだ色彩がもたらす、色鉛筆のような柔らかな印象。
無用なカメラの移動や、クレーンの俯瞰や、広角での客観などはない。
徹底してソンの視点・立場・経験からカメラは離れない。
カメラの高さもソンの目線。
被写界深度の浅い画は、子供たちの表情の繊細な変化だけにフォーカスする。

ライティングも印象的。
窓辺に座るソンとジアの後姿に注ぐ夕陽のあたたかさ。
それがソンひとりになった時の寂しさ。
病室の空になったベッドを見つめる父にも夕陽が切なく陰を落とす。

編集はすでに妙技。
移動などの説明抜きで場面転換して、観客に少し「?」と思わせてから、わずかな会話などで展開を理解させる。
そして「ドッジボールの組決め」表情アップのながーーいカットで、始まり終わるという円環構造。
劇伴音楽も1ヶ所しか使っていなかったはず。
すでに「映画の文体」「語りのリズム」を完全に持っている。

マニキュアというモチーフ使いが巧み。
ピンクに染めるが剥げてきて…水色を塗るとまだらに混ざる…。
酒瓶で指を切りズタズタ…最後の最後にわずかにピンク色が残っている。
誰にでも解る、心の変化のメタファーとして用いるが、あざとさより素直に魅力を感じる。
面白いのは、ソン自身もこのメタファーを理解している事。
ピンクと水色で編んだブレスレットを2人に渡そうとするが、教室では最悪の仕打ちが待っているという悲劇の展開。

このように、演技と映画の各技術が素晴らしいため、物語を超えて、画の力が非常に心に響く。
ソンとジアが枕を並べて寝る暗い部屋、海に行こうとゆびきりしたツメに巻いたラップが、カサカサ音を立てる。
ラストカットの、画面の端と端に立ち尽くす、ソンとジア。
理屈抜きに、体が震えて唇を噛みしめずにはいられない力強いカットたち。
きっと、簡素な機材で撮影していると思うが、率直で実直なアプローチをすれば、CGとかクレーンとか金の掛かるものは必要なくて、本当に胸を打つ映像を創り出すことができるという勇気をくれる。

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心優しいお母さんでも、宗教に熱心なおばあちゃんでも、人生の苦味を知るお父さんでも、そして子供でもなく、「幼児」が一番大切な事を知っている、というラストは珍しいのではないか。
「子供に教わる」物語は星の数ほどあるだろうが、「幼児に教わる」というのは、あまり思い当たらない。
幼児特有の腕をクネクネ動かしながら、金言を吐く、弟ソンの生意気な表情が忘れられない。

「じゃあ、いつあそぶの?」
今年劇場公開ベスト
目線を向け合う応酬だけで泣くとは思わなかった。

いちばんドキッとしたというか凄いと思ったとこは、ソンが勝手に母の金でジアに誕生日プレゼントを買ったのに裏切られてしまった次のカットで、弟がこっち(母に怒られているソン)を見ているフルショットになるとこ。最後までヤンチャでバカな印象を付けてきた弟が彼なりの言葉で真理を突く終盤のシーンがめちゃめちゃいきてくる。
友情の映画であるのと同時に家族の映画でもある。

ディテール(マニキュア、ミサンガ、海苔巻きキュウリ)で見せていく感情の変化や距離感には感心してばかりで、小道具の採用基準もセンス抜群で圧倒的ノスタルジーを十分に含んでる。
けどスリルが足りなかったのが勿体ない。観客を巻き込んだ秘密のバラし方で七並べのように楽しみたかった。

横顔や正面のクローズアップ多めで飽きることはないけど面白みないなぁと思ってたら、ファーストシーンのドッジボールのやつをラストでもう一回やってみせたのは卑怯、泣くやないか。

この監督、是枝裕和に影響受けてると聞いて納得した。背伸びする足のショットとか、やや逆光の室内で背中を見守るカメラとか、ロケーションや小道具を二度以上見せるときの印象の操作とか、誰も知らないにそっくりやなと今思えば。万引きのシーンとかね。日本なら是枝や呉美保、橋口亮輔と非常に近い作家性と演出スタイルを持ってる。
【 叩き返してたら、いつ遊ぶの?】

“ イジメあるある” を、残酷さ残忍さを前に出さず少女たちの視点を丁寧に描写した秀作。

“ イジメあるある” ‥‥
ターゲットの居ない場所でターゲットに関するある事ない事、とにかく何でも吹聴し、同調させる。
ターゲットに加担する奴は、次はお前がターゲットになるからな、と暗黙の圧力を与える。
とかね。
( 因みにいい歳した大人のオトコでも、妬みの感情からこーゆー女々しい事をする奴は存在します。(−_−#) しかし周りは大人なので、結局ソイツが孤立する結果になるんですけどね ψ(`∇´)ψ )

それはさて置き‥‥
あの小道具(マニキュア)の使い方とか!!!

ジアと一緒に塗ったホウセンカのマニキュアは、爪が伸びてきて、ジアとの関係が薄くなるのと同じようにどんどん短くなってゆく。

いじめっ子ボアのターゲットがジアに移り、ボアから貰った水色のマニキュアを上から塗ってみるものの、ホウセンカの赤と混じって微妙な感じ。
ジアともボアとも仲良くも敵にもなれない。中途半端なソンの状況そのもの。

まだ少し、ほんのちょこっとだけホウセンカの赤が残ってる。
ジアとの繋がりは断たれた訳ではない‥‥ ?のかも‥‥ ??

相変わらず(いや、韓国映画、と言う大きな括りで ^^; )登場人物の描写に無駄がない。
イジメっ子ボアにしたって、あそこまで悔しがるのはもしかしたら彼女は彼女で抑圧された家庭環境なのかもしれない。と想像させられたり。(いやだからと言ってイジメは許されないけど^^; )
とか、
お爺ちゃんが亡くなり、父を失った父親の姿を見たソンも、彼女なりに父親から“何か” を感じ取り、成長の兆しを感じさせたり。
そして大いなる母の愛と言ったら!!
父親の収入が厳しくなり自分の仕事の負担が大きくなっても子供たちに当たる事もない。
子供の友達の親にもご近所さんにもとにかく愛想良くうまくやり過ごす。
ソンの社交性の無さ・不器用さは父親譲りなんでしょうね ^^;

お父さんもお母さんもソンも、色々抱えて大変な状況の中、ここにきて弟くんの幼いゆえの無邪気さがね、コリャあ残酷だ〜〜
自分だったら堪らん!!
と少しイライラしていたら‥‥

執拗に怪我をさせてくる弟の遊び仲間にはやり返さないといけない!と説くソンに対し、弟クンの、
『 叩かれたら叩き返してたら、いつ遊ぶの?』
の台詞。
それまでこの弟クンにイライラしてただけにね、
『 そうきたかーーーー!!!』
カウンターパンチくらいましたよ(笑)
ココで一気に加点 ^^;

復讐してても、時間のムダだよ?楽しまなきゃ
と。

是枝監督に影響を受けたという本作の監督さん。
唸ってしまうほど素晴らしい子役たちの演技は、なるほど確かに『そして父になる』の子役たちの自然な演技を思い出す。


最後に‥‥
“ いつ遊ぶの?” の考え方も解るけど、ワタシは
【 ちゃんと遊ぶけど、叩かれたら叩き返すよ!!】
精神でゆこうと思います ψ(`∇´)ψ
クラス内のイジメを描く作品は数多くあるのだけれど、この作品の特出ところは主人公の表情であろう。

頭から水をかけられたり机に花瓶を置かれる事もないけれど、明らかな疎外感がある。そんな中、現れた転校生と夏休みを通して仲良くなるけれども、新学期が始まりその転校生も距離を置いてくる。

けれど、ソンは過剰な怒りや悲しみの表情はしない、それが生々しい。そこには何か理由があるのであろうと信じようとする心、認めてしまえばほんとうにひとりになってしまうかもしれない不安、ジアの事が大好きだという想い、まだ幼い女の子はきっと何に違和感を感じているのかも分からずに、それでも感情を思い切り出さないことがベターだとだけは分かっているといった表情かもしれない。

ソンとジアはお互いを大好きである、けれど世界はふたりだけではなく、互いで見せ合う顔とは違う顔を第三者の前でしなくてはならない、そうでなければ、何故なのか分からないが社会から仲間外れになってしまいそうだから、弱みに付け込まれて恥ずかしい思いをするかもしれないから。

そんな、弱さを持ったふたりが向かう結末は、きっと世界は変わらないが、変わらない世界に文句を言い合えるふたりになったような気がして良かった。

イジメの問題は難しい。クラスという小さな単位で、それぞれの体も心の成長のスピードも違う、家庭内の問題は決して話すことは出来ず、話してしまえば同情なんかよりも弱みとして付け込まれてしまう。まだ、多くの子供達がここだけが全てじゃないと割り切って達観することも出来ず、多数派が力を持ち、多数派とは違う自分の思いは意識せずとも仲間外れにならないために潰してしまう、同じであろうとする。そうして、人間のむき出しの残虐性の中、優劣がつけられ、自分より下の人間を作り出してしまう。下にされる子は、その経済力も家庭の問題もたまたま標的にされる不運なども自分ではどうするとも出来ないことなのに、羞恥心にさいなまれ、誰にも話すこともできない。

この恥ずかしいという感情がややこしく、怒りや悲しみを超えて心を支配し、恥ずかしい自分を人に知られたくない知られてはいけないと我慢してしまうのである。
大人はいつも、子供達のイジメに対して、「嫌なら学校に行かなれば良いんだよ」「いつか時間が解決してくれる」「大人になれば大したことじゃなかったと思える」というけれど、それでは恥ずかしさから救えないのだ、その子たちにとって大切なのは「いつか大人になったら」ではなく、「今」なのである、一緒にいじっめ子の文句を言えるたった1人の仲間が大切なのだと思う。

子供の話ではないのだ人間の話なのだと思う、子供であったことのある大人は大人になったことのない子供の気持ちを分かったように話してしまう、子供にとってそれが全てである世界の話をちっぽけな話としてしか捉える事ができない。

イジメはあるのだ。批判では救えない。イジメはなくなっても、子供のうしろめたさや、違和感を取り去ることは出来ない、子供の残虐な攻撃性は僕ら大人と変わらなく、それに対する防御だけが弱いのだ、僕らができることは何だろうか?

イジメのある学校を良くない学校、先生がいると否定せず、向き合うことだ、まずは学校がイジメを隠さず、真剣に悩み、気づこうとして、少なくともイジメが原因で自ら命を落としてしまう子供をゼロにするために僕らが話し合わなくてはならない。

酔っ払っていて、よく分からないことと長くなったことをお詫びします。それでも、皆さんが誰かの話し相手になってあげることを真剣に願っています。
昨日まで仲良く楽しく遊んでたのに、なぜか突然ぎこちなくなる。自分が何かしたかな?何か言ったかな?とか考えても分からなくてモヤモヤ。。
あんなに楽しかった日々は幻だったのかな?と思うけど、爪にはたしかに花の色が残っている。
2人きりでいた時はお互い素のまま接することができたのに、そこに他の誰かが入ってきた途端その関係が崩れてしまうかのような感覚。
嫌なことがあってもどうすることも出来なくて心が壊れそうになる、自分の経験と自然と重ねてしまい、ソンの気持ちが痛いほど伝わってきた。というか私にはそう感じられた。
大げさでなく、丁寧に女の子たちを描いていたのがよかった。
最後はちゃんと仲直り出来たかな?出来てればいいな。
2017年183本目
子供時代ってやっぱ地獄だよな。
子供時代にかえりたいって言ってる人見ると、いい人生送ってるなあって思う...
そこを逃げずに描いてる傑作だと思います...
ちょっとトロくて空気読めなくて、いじめられっ子の主人公ソンと、転校生ジアの交流&クラス内いじめの物語。
なんとなく夏休みパートの途中から勘付いていたけど、ソンとジアが仲違いしてしまったのはあぁ...とがっかりしたし、子ども間のいじめエピソードの一つ一つが本当に苦しい。子供ゆえに容赦ない言葉を放ち、子供ゆえに大人には相談できない。周りの大人達は何も知らない。
いじめられっ子枠はソンとジアの間を行ったり来たりして決して終わることはない。次から次に標的が変わっていくのは怖いし、生き残るために互いに告げ口し合い、2人の関係はボロボロに。女の子ゆえの部分もあるかもしれないが、グループの離散集合はおっかない。
いじめは大人になってからもあるからなぁ...。
最後はソンの弟ユンの「ずっと殴ってたら遊べない」という言葉から、和解の道を進むことができたんだろうか。
ソンとジアが仲間に戻っていじめっ子と共闘していくことを予感させるラスト。

恵比寿ガーデンシネマにて鑑賞。素敵な映画館でした。
記憶を覗かれたのか?と思うほどの追体験。ソンちゃん…いや、もうむしろソナと呼ばせていただこうじゃないの。君は小学校のときのわたしそのものだ!話に入れてもらいたいのに入れてもらえない、入れてもらっても上手にノレない、誕生日会に招待してくれない、運動音痴だから体育の授業ではもちろん煙たがられる、目の前で聞こえるように悪口を言われる…漫画「ライフ」で描かれたような強烈ないじめではないけど、スクールカーストという構造の檻の中で繰り返される仲間はずれゲーム。韓国と日本のいじめの土壌が似ているのか、それともどんな国であってもこの年の頃の女の子はみな同じ行為に走るのか知らないけれど、わたしが体験したそれと全く同じ。こういうのって、かつて女の子だった人たちの半分は経験している(同時にそのまた半分の半分くらいは仲間はずれにする側だからこういう思いしたことないんだろうな、ムカつく…)。今考えれば、そんなことされたって幼稚だし大したことないじゃんって思えるが、やっぱり当時はそれなりに辛かった。まあ、その相手と仲良くやっていけるかいけないかを見極められない自分も悪いんだけどね。


彼女たちの世界と関係性を表現するためのマニキュアという小道具。小学校、顔にお化粧はだめだけどマニキュア塗るくらいならなんとなく許されていたから設定的にも無理がなかったし、なおかつ映画の中でとても効果的に働いていたと思う。二人で染めた時はとっても可愛かったホウセンカの紅色も、ボラたちカースト上位層女子のパステルカラーのマニキュアの前では霞んでしまって、紅色は消えかけたり別の色を塗り重ねられたりするんだけど、最後は結局また元の紅色に戻っていくっていう。
人間ってとても賢いから相手と考え方の合う/合わないの匂いを感じ取る嗅覚のようなものをちゃんと成長させていける。ボラたちとは一生仲良くなれなそうだけど、ジアとはまた仲良くなれそうだ。
小学生のときに、わたしのこと仲間はずれにしてた女の子たちの名前を自前のデスノートに書いたら親にこっぴどく叱られたの思い出した。今になってわかるけどやっぱ親の言う事って正しいよね。やっていいこととわるいことがあるね。ソナが弟をいじめる悪ガキのことをつい「死んじゃえばいいのに」と言ってしまったシーンで思い出しました。
あとわたし多分ソナよりも真面目で小心者なのであの状況では絶対に色鉛筆貰わないし使えないし、観終わった今でも万引きのこと謝らなくていいのかなって怯えてます。
 イ・チャンドンの映画かと思ったらそうじゃなかった。そりゃそれだけ寄ってロングテイクで撮ってればそういう風な見え方になるだろうね、という。爪の演出にしても仲良しインジケーターじゃないんだからさ。良識ある大人なら回避するであろう冒頭のドッヂボールのチーム決めの嫌な感じがずっと続く、がしかし決して新鮮ではない。the world of us というだけあって世界が狭い。それにしても主演の彼女のいわゆる「キョロ充」特有の、周りに異様なまでにお伺いを立てるような目の芝居に始終心をかき乱された。
 人間関係に何か求めだすと途端に不安に襲われる。この二人の友人関係はいずれ疎遠になるだろう。だがそれの何が悪いのだ。ベタベタとくっつくだけが心を通わせる方法ではない、だろ?
子どもたちの世界は平和で純粋で、キラキラしたことばかりではない。子どもだからこその残酷さ、痛み、やっかみ、不安が沢山ある。
思い返すのが痛くて、胸の奥深くにしまいこんで、もう2度と開きたくないような、そんな子どもの頃の記憶と向かい合わせてくれる。

主人公のソンちゃんを襲う友達が離れていく恐さ、ジアちゃんの誰かを傷付けることでしか自分を守れない幼さ、ボラちゃんの他人と違うことを受け入れられず、疎ましさを覚えてしまうところ…どれも身に覚えがある感覚ばかり。

友情の印(夏休みにホウセンカの汁で赤く染めた爪)、お母さんの愛情(美味しそうなキムパ)、仲直りのヒント(弟のユンくんのアザ)、どれも痛々しい思いと同じくらい愛おしい思い出が詰まってる。

大袈裟でドラマチックな展開はなく、静かに淡々とリアルな子どもの世界(The world of us)を描いていて、だけど問題提起だけでなく、導くべき方向をきちんと示しているところが、この懐かしくて痛々しい気持ちを鎮めてくれる。

暴力的な友達に叩かれ、いつも顔や身体に沢山のアザを作り、絆創膏を貼られているユンくん。
『その子と遊ぶのやめれば? やられたら、やり返しなさいよ』と、お姉ちゃんに言われてもユンくんは言う、『だって、僕は遊びたいんだもん。叩かれて、叩いて、叩かれて、また叩いてたら、いつ遊ぶの?』
このピュア過ぎる言葉に涙が止まらなかった。
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