ただ故障しただけなのに思いがけず脱北することになり、あらぬ疑いを掛けられ、陥れられ、政治の道具にされ…国家問題に翻弄される一漁師の物語。
発端はカノ国だから起きた事だが、本質的には人間の猜疑心や悪意の話。
胸が痛む。
ギドクらしいブラックユーモアが散りばめられ、ギドクらしく、黒すぎて笑ってる場合じゃない成り行き。
人間の醜さや善意の空回りが複雑に絡み合って事態を悪化させていくのをただ見ている事しか出来ないジレンマ。
あーあ……と思いながらも、この空虚感が好きなんだろうな。
もちろん、あの二国間だからの題材だけれども、絡まったせいで帰れなくなる人はきっとどんな国のどんな場所にも居る。
変わらない事に嘆き続けるんだなぁ、この監督は。