イチロヲ

フォールツ(原題)のイチロヲのレビュー・感想・評価

フォールツ(原題)(2014年製作の映画)
4.0
マインド・コントロールの研究を推し進めている博士が、カルトに入信している女性に対して、自己流のセッションを試みていく。洗脳解除を目指す男の奮闘ぶりを描いている、ブラック風味のサスペンス・スリラー。

何よりも、主人公の博士をケチケチした性格の奇人として描いているところが面白い。真摯な態度で研究に打ち込むのだが、センシティブな問題に深入りしており、なおかつ出版社との金銭トラブルを抱えているため、独立独歩を強いられてしまう。

カウンセリングでは「肉体とは?」「精神とは?」「神とは?」といった禅問答が繰り広げられる。しかし、あくまでも本作は「洗脳」を題材にしたサスペンスの路線。リアル志向のカウンセリングが展開されるわけではない。

主人公が鬱屈した精神状態に置かれている時点で、物語の展開を先に読むことができてしまうが、自分にとっての「教祖的な存在」を脳内で創り上げるという、不思議現象の恐怖を味わうことができる。
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