本作の衝撃と胸くその悪さは今年観た映画の中で間違いなく断トツ。あばら家や廃道ではなく普通の家庭が現代ではこんな風にホラーの舞台になるんだね。
冒頭から漂う不気味さが加速的に深まっていくのがとにかく怖い。メイドのジョージナの笑顔のアップ・黒人を礼賛する優しい白人達の親睦会、と何気ない筈のシーンにまとわりつく「何かあるぞ」感にクリスだけでなく自分もヒリついた心境に。
ピークに深まった不気味さと謎が終盤で明らかになる訳だけど、真相解明の段階で人種差別があんな風に絡むのはホラー映画としてかなり斬新だし、現代のアメリカで今作を創った製作サイドの皮肉というか批判精神が凄い。監督がコメディアン出身というのに照らすと、本作はかなりキツいブラックユーモアとも取れる。
こうして本編を見終わってみると、今作には無駄なシーンが一切ないことに気付く。104分の上映時間の内に張られた伏線が自然すぎて見事。
個人的に、ローズのお母さん役でキャサリン・キーナーが出ててびっくり。完全なおばちゃんになってたなー。
