emily

世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方のemilyのレビュー・感想・評価

3.7
ドイツの真ん中の平凡な村ボラースドルフに消費者調査会社がモニター調査にやってくる。たちまち新商品に夢中になる大人達、個性的なお年寄り達は老人ホームにいれられ、子供達は楽しみを奪われ6人の幼稚園児と1匹のアカハナグマがたちあがる。

オープニングからカラフルな色彩と遊び心満載の仕掛けが一杯詰められていて、可愛くて、ハチャメチャで、下品さが全くなく子供目線でありながら、普遍的なテーマがしっかり隠されている。街並みもレトロなファッションももちろん子供達も、アカハナグマのユニークな扱いも暖かなユーモアの中に包み込み、まるで絵本を見てるようでありながら、スピード感が飽きさせない。ミュージカル調になったりSFのような色彩やハチャメチャ、ドタバタ劇のテンポ感も嫌味なく楽しい。寄り添う音楽もまた雰囲気をしっかり盛り上げてくれる。

同じ目線に配置されたお年寄り達の取り扱いも面白い。全てを終えて童心に帰っていく彼らの冒険心は子供と同じであり、"大人達"から同じように叱られるのだ。

大人になるにつれ普通でいること、枠の中で生きることを強いられてしまう世間の生きにくさを浮き彫りにしながら、大人にもしっかり響く作品になっている。子供といっしょに観に行ったならちょっと良い気分になれるような作品。
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