るる

世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方のるるのネタバレレビュー・内容・結末

3.1

このレビューはネタバレを含みます

さすが童話の国ドイツの映画。
ミヒャエル・エンデのモモみたいな…メイドインアメリカこと銀色団の価値観に侵食される大人、施設に入れられてしまった老人たちを助けようとするハナグマ・ギャングの子供たち、すき。

しかし、ミュージカルなのかよー!? 演技経験のない子供たちという触れ込みからもっとセンシティブな内容を想像してたけど、可愛いセット、色調補正されすぎた画面、コテコテのメルヘン・ミュージカルだった。ジャン・ピエール・ジュネ監督やウェス・アンダーソン監督の世界観が好きなら好きかも。

いやー、好きな要素はあるんだけど、シュール。

ドイツ語に馴染みがない身としては吹き替え版のほうが、画面や音のコミカルさと「子供らしい声、喋り方」のコードが合致して、相乗効果で可愛く見えて、見やすかったかな。

老人と子供の連帯、児童文学の定番、私は残念ながら大人になってしまったので、老人が子供を味方につけようとするなよ!? 大人が子供に期待して夢見るなよ!! という気もするのだけど、

大人=普通=マジョリティから逸脱するがゆえに、排除され管理対象にされる存在=老人、自由な発想で状況を打破できる存在=子供、をカリカチュアして描こうとするのは、やっぱり大事なことだと思うし、嫌いじゃなかった。

フツーであることを誇りにする大人たち、フツーじゃないことを楽しむ子供たち、

規律正しく厳格すぎるイメージの、ドイツが、こういうの作るってのが面白かったな。でも、あれだ、残念ながら、ネットが存在しない、二十年前くらいの世界観。

いま見るとちょっと色々物足りない。あと、日本の場合は現状、良くも悪くも老人基準の国だからな…と。

古き良き児童文学、童話の世界を堪能するという意味では楽しかったけど。子供達が大作戦を実行する姿は痛快だったけど。

もうあと一歩、何か、欲しかったかも。

大人のグロテスクvs子供のグロテスクという感じで、子供の発想で世界を作り変えてみた、ということだと思うんだけど、最後に出てきた水着美女たちよくわからんな!?とか。あれか、アメリカ=チアリーダーからドイツ=シンクロ選手、というメタファーか。

子供達の発明が現実になるのは楽しかったけども。子供の世界になりきらなかった、と感じて、うーん? ハナグマのクアッチは可愛いっていうか、名演だったけど…

なんだったんだ…
るる

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