akihiko810

光のakihiko810のレビュー・感想・評価

(2017年製作の映画)
3.7
gyaoで視聴。河瀨直美監督。永瀬正敏、水崎綾女主演。
カンヌ国際映画祭メインコンペティションに選出。

奈良を舞台に、弱視の男性写真家と、視覚障害者用に映画の音声ガイドを制作する女性の交流を描く。

河瀨直美監督らしくドキュメンタリーたちで、男女の純愛が描かれる。
もしかしたら人生には「あの<幸福な>瞬間があったから今も支えられて生きていられる」といった場面、瞬間があるのかもしれない。
こういった<幸福な>瞬間を見事に切り取って積み重ねていった作品に、傑作ラブコメ漫画『金剛寺さんは面倒くさい』という作品があるのだが、本作からはこれを連想した。
「金剛寺さん」は積み重ね(幸福な瞬間の連続)でできた作品だが、本作『光』が示す瞬間は、わずかワンカットだけだ。ワンカットにすべてが込められている。
この『光』という映画は、夕焼けのキスシーンのためだけに存在し、このキスシーンはそういった「あのとき」を切り取るために存在するといえる。
本作で感動する観客は、映画そのものに感動するだけでなく、自身の記憶の中にある、「人生のあの瞬間」に再び出会えたことに感動するのじゃないのだろうか…と思った。

個人的には 河瀬直美は(全作は観てないが)、『朝が来る』の方が傑作度が高いと感じる
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