ベビーパウダー山崎

蘭の肉体のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

蘭の肉体(1984年製作の映画)
3.0
作家性の強い監督、80年代にデビューした新人、林功のつまらない映画、買い取り作品、様々なポルノを見まくり、そして私たちは結局のところ西村昭五郎に還ってくる。これがロマンポルノ。
日活を支えた大御所の作家がロマンポルノ末期になるとやけに生々しくなる(林功でさえ!)。定食屋の前でのキャットファイト、サラ金、ヤクザ、焦げたウインナー、川沿いのあばら家、廃墟のようなアパート、飛び降り自殺、無計画な強盗。シナリオを練る時間も撮影の金もなくなり、欲(セックス)に溺れる人間が剥き出しになる、その虚構性を信じて「映画」にする若さもすでに失い、乾ききった視線で閉じた物語とただ向き合う。愛の果てに殺して終わらせるしかない救いのないドラマ。撮影は山崎善弘、暗い人間をリアルに映す凄み。