音楽なし、ナレーションなし、注釈なし。
ただ延々と人類遺産と呼ばれる風景が映し出されるだけ…
前に観たour daily bread（命の食べ方）は人々が生きていくための糧、食べ物となる穀物や動物の命を奪うところから食べ物に姿を変えるまでをフラットに描き出していたけど、本作では人類遺産がモチーフ。
現代はHomo sapiens？Wikiの賢い人間って訳が作品を観た感想としては皮肉も込めてしっくり来るかな。
遺産…正も不も含めて人類が手を加え、脅かして不要になったものを全てそう呼んでる気がした。
全てが廃墟という訳でもないし、ゴミも景色も含めて、様々なものに人は関わってしまったんだなぁと改めて実感。
機能を失い、自然に侵食され風景と同化していく人工物、はたまた分解も風化もせずにそこにあり続けるまさに不自然な工作物や産物たち。
手に負えず手放しかけてる核エネルギーの副産物も描かれていたけれど、自然をコントロールした気になって、自然から距離をおいて暮らすことの必然性を大袈裟にいうとちょっとだけ考えてしまった。
納得のラストシーンまで人類への警鐘とも警告とも取れる熱量の高い映画だった。
もちろん娯楽はないし全く楽しくない。
