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散歩する侵略者のsacoのレビュー・感想・評価

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
3.0
予告編を観ただけでの鑑賞だったので、最近氾濫している惨殺犯罪モノかと思っていた。
金魚すくいのシーンは映像だけ見ると美しいのに、なにやらすごく不穏な音楽が流れて緊張するオープニング。ホラーが苦手な私はこの時点で心臓がバクバクした。
玄関から飛び出した母親が吸い込まれるシーンで悶絶。
....がしかし、松田龍平と長澤まさみのシーンに変わって、なんとなく話が見えてきた時、これは単なるホラーやSFではなく、心理的にいろんな問題を提起するドラマと分かる。コレはスッキリとした解決は難しいなぁと思った。
“概念を奪い取る”という発想が今までにあったようでなかった感じがして面白い。
その人物の心の枷(かせ)になっているものが除かれた時の開放感が表現されるところは考えさせられた。
結末の捉え方がすごくベタだし、全体的に突っ込みどころが満載だけど、妙に印象に残る作品でした。

黒沢清監督は『トウキョウソナタ』が好きで、ストーリー以外でも小鳥のさえずりや遠くを通り過ぎる救急車のサイレンとか、細やかな効果音に臨場感があるのと、やっぱり光と陰の使い方が巧いなぁと思う。
今回もそんな感じがした。
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