ベイビー

散歩する侵略者のベイビーのネタバレレビュー・内容・結末

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
1.1

このレビューはネタバレを含みます

まず黒沢清監督の話ですが、昔「CURE」など色々拝見しましたが、どの作品も好きになれませんでした。画角全体からの雰囲気なのか、掛け合いの間の取り方なのか、演出方法なのか、当時理由が分かりませんでしたが、それ以来、黒沢清監督の作品を見るのを遠ざけていました。

さて本作。
久しぶりに黒沢清監督の作品を見て、序盤から「あぁ、やっぱり…」苦手だと感じました。

まず、長谷川博己が登場したホテルでのシーン。電話をかけながらフリーのシュガーを大量にパクるシーンがありますが、あれ要る? わざわざカメラをブレさせてまでやること?

次に、アンジャッシュ児島が刑事役として、立花あきらを見張るシーン。セキュリティ甘くね。「そんな奴知らん」「合わせられん」「中に入るな」と言いながら、結局自分で鍵を開けて招き入れてんじゃん。えっ、コントなの? で、「自分」のくだりは何? なぜ概念を採取される前からあんなに自分を見失ってるの? 話ブレません?

それと、光石研が「仕事」の概念を奪われるシーン。「仕事」の概念がなくなる=幼稚になる事なの? オブジェを破壊することなの? 違うでしょ。

宇宙人達は「概念を探りに来た」とか言ってるわりに、採取するサンプル少な過ぎない? 多く見積もっても3人で100個もないでしょ。そのくせ宇宙人なのに、男言葉と女言葉の概念はあって、しっかり使い分けてる。「死の概念」はあるの? ないの? なぜ二人は器だけの意味でしかない人間の体から離れず死を選んだの? 最後の方だと頭をトンとせずに、遠隔で概念採取しちゃってるじゃん。設定ブレブレじゃない?

もう、なんかいろいろ詰めが甘い。というか、作品全体の文脈が美しくない。長谷川博己がこの映画のタイトルを叫ぶシーンは、文脈に無理があって非常にみっともない。

そもそも、「概念」の王様は「愛」なんだから「不仲な夫婦」「概念」「地球侵略」というキーワードがあれば、結末は見え見え。その分かりきった結末に向けて時間がただ過ぎただけ。愛の概念で世界を救うなんて、とっくに「マトリックス」の方で数段上手くやってるし、そもそも、長澤まさみは何時、どの時点であんなに深い愛に目覚めたの? 夫婦だから当然? それが女心ってやつなの?

僕にはサッパリ分かりませんでした。なんとも消化不良な作品です。黒沢清監督ファンの方すみません。ただ本当、自分との相性が悪いだけです。

終始「この作品は映画向けじゃないな〜」と思って見てたのですが、どなたかのレビューで「元は劇団舞台作品」と書いてあるのを見つけました。
これで、僕も腑に落ちる点を一つ見つけました。
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