ゆん

スレイブメンのゆんのレビュー・感想・評価

スレイブメン(2016年製作の映画)
3.4
苛められ体質の主人公はある日、ひょんなことからスレイブメンのヘルメットを手に入れる。そのヘルメットを被るとスレイブメンに変身することが出来、特殊能力として、スコープで人間を五秒間写すとその対象をこの世から抹消することが可能になる。そしてそうなった場合の人生をやり直すことができるのだ。
主人公は片思い中のあやのさんを様々な障害から守るために、自分の大切な人間すら抹消していく。

スレイブメンはヒーローだが、地球の平和を守ったり、親や友を大切にしたりはしない。ヒロインのために彼女の人生の邪魔をするやつらを片っ端から排除していくが、それは苦しんでいるヒロインと向き合いたくないというわがままさだ。
異性への欲望や自己顕示欲をぶつけつづける主人公と、一貫して被害者意識に苛まれ病むヒロインの想いが通じ合う事はなく、エゴはエゴとしてそれでも突き進むまっすぐさを描くのは、井口昇監督初期作品からの変わらぬ姿勢だ。
映画内で起こる出来事を小規模におさめて、内面を丁寧に見つめる姿勢が素敵。いつまでもそういった視点を持って忘れずに生きていきたい。
ゆん

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