ひろひろ

クルエラのひろひろのレビュー・感想・評価

クルエラ(2021年製作の映画)
5.0
あの「クルエラ」を描き切ってくれたディズニーに拍手!!

予告やあらすじを観る限り、『ジョーカー』や『ハーレイクイン』、『オーシャンズ8』『マレフィセント』等の二番煎じになりそうな不安もあったが…そんな勝手な心配も見事にかき消してくれたのではなかろうか!

最近流行り(?)の「悪には悪の正義が…」とか「悪にした社会が悪」とかそういう社会風刺っぽさを全面に押し出すわけではなく、かといって「女性の社会進出」とか「男性優位を覆す」とかいうメッセージがメインでもない……とにかく「クルエラ」の物語というところが非常に爽快だった。

もちろん映画全体を通してみれば、昨今の様々な問題・課題がふんだんに盛り込まれ、それらに対して疑問を呈しているのだが、そんなことはもはや「当たり前」であり、「The Future(未来)」を見据えるクルエラにとっては、どうでもいいことなのだと言わんばかりの演出には、終始シビれた…!


また今作の選曲にワクワクした方も多かったのではないだろうか。
時代背景と選曲との若干のズレに疑問と違和感を覚えていたのも束の間……前衛的で未来的、狂ったカリスマ「クルエラ」を表現するには、こうするしかなかったんだと、中盤からはその妙なミスマッチさが快感になってしまった。


そして何より…『101匹わんちゃん』の歴とした前日譚であることが、この作品、「クルエラ」の恐ろしさを何倍にも膨らませている。
エマ・ストーンの美しさにどれほど見惚れようと、彼女の"未来"は、あの人で変わることはないのだ。

「ディズニー史上最も悪名高いヴィラン」と書いたポスターは嘘ではない。これはある種、今までで最も恐ろしいディズニー作品とも言えるだろう。




追記:
元よりウォルトが築いた「ディズニー」は常にアバンギャルドな作品を創作していた。そういう観点で言えば、ぜひとも本作で、観客をあっと言わせるような特異な撮影技術や、映像表現が欲しかった…と言いたくなってしまうのも正直な感想。(OPの語りなんかはいつものやつだったからね)

しかし、ここ数年のやや「ぬるい」ディズニー製作の中では、群を抜いて面白かった!
ありがとう!クレイグ・ギレスピー監督!『I, Tonya』も(いい意味で)狂ってて大好きです!
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