たまには結論から言っちゃいますね。
チョー面白かった。
途中人形劇であることを忘れるくらいのめり込んで観ました。
やっぱウェス最高。
ウェス・アンダーソンといえば、
守備貫徹した左右対称の画作りや計算され尽くした役者陣の動き、
コミカルでカラフルな世界観とは裏腹に意外と残酷なストーリー等々。
「これぞ」っていう感じの作家性バリバリおじさんな訳です。
個人的には作風は前作に当たる「グランド・ブダペスト・ホテル」でもうぐうの音も出ないくらいに完成していて、
そう言った意味ではあの映像を超えることは難しいんだと思ってました。
そしたら今作、予想通りというべきか、意外というべきか。
いくつかの作風にアレンジを加えて出してきてくれました。
例えば左右対称に関しては、
まあ真横からのショットであるとか、
真俯瞰とかはちょくちょく使われてたんだけど、
完全左右対称なカットはこれまでのフィルモグラフィと比較しても大分少なくなっていた印象でした。
また、カラフルな映像っていう面に関しても、舞台が日本で、尚且つゴミ島っていうこともあるんだろうけど、色味はかなり燻んだ印象でした。
絶賛公開中の「フロリダ・プロジェクト」の方がよっぽど本来の意味で「ウェスっぽい」映像だった思います。
「コミカルな世界観」っていうのも、
今回はどっちかっていうと最初から
「シニカルな世界観」に変換されていた印象でした。
寿司弁当作る下りとか見て、
「アレ、ウェス君もしかして日本嫌い?」って思ったのは僕だけじゃないはず。笑
と、どっちかっていうと期待外れだったみたいな書き方でつらつら感想を綴ってますけど、
実際の感想としてはその真逆で、期待以上の素晴らしい作品だったと思います。
今までとは違うアプローチで、尚且つここまで楽しませて貰ったらもう文句なんて無いですよ。
チーフを洗ってやると…なシーンとか、
七人の侍のBGMが流れてくるところとか、
コマ撮りと手書き(CGなのかな?)の使い分けのうまさとか、
やっぱすげーな、と舌を巻くような演出のオンパレードでした。
強いて言えば、僕が見た劇場だけかもしれないけど、
日本語字幕を入れざるを得ないからか、画面が本来のシネマスコープサイズより大分小さくなってしまっていたのがかなり残念でした。
文字が小さくて読み辛いっす。
日本特有の字幕入れすぎて何が何だかよくわかんなくなってるポスターとかを皮肉ってるのかなと思えばやっぱちょっと面白いかも。
どう転んでも、ウェス・アンダーソン監督作品は嫌いになれないんだなぁ。
ただウェス君、やっぱキミ日本嫌いやろ。