マヒロ

ヒトラーに屈しなかった国王のマヒロのレビュー・感想・評価

2.0
第二次大戦中ナチスドイツの侵攻が始まったノルウェーにて、国王ホーコン7世(イェスパー・クリステンセン)はドイツに降伏するか抵抗し続けるかの二択を迫られる……というお話。

侵略された側がそのまま降伏して被害を抑えようとするか、戦って侵略を食い止めようとするかっていうのはかなり難しい問題だと思っていて、言いなりになってやりたい放題されるのも困るし、かと言って抗戦を続けたら無用な被害が生まれるかもしれないし…と言った感じでどちらが正しい判断と言うのは単純に決めきれない辛さがある。そんな中でノルウェー国王がどういった選択を下すのか……というのは邦題で思いっきりネタバレされているが、要するにノルウェーは降伏せずに戦うことを選択することになり、この映画ではその決断に至るまでの過程が描かれている。

とまぁ、ここら辺は史実に基づく話なので良い悪いも無いという感じだけど、今作が映画として面白いか、と言われるとちょっと微妙。
一番気になるのはカメラワークの辺りで、手持ちカメラで撮ったかのような荒い撮影が全編に渡って続いており、これが画面をめちゃくちゃ見辛くしていてかなり気になった。『仁義なき戦い』的な、あえてブレる画面でリアルな雰囲気を出す手法というのもあるんだろうけど、今作の雰囲気にはマッチしていなかった。
例えば一つの部屋で2人の人間が会話するところなんかでは、普通の映画だったらカットを割って交互に人物を映すとか、もしくは長回しでじっくり2人を映すとかするもんだけど、今作では喋り出した人にいちいちカメラを向けるだけなので、議論が白熱してくるとカメラが左右にブンブン振り回されてもはや目が回ってくるレベル。変なズームとか戦闘シーンでドタバタ動き回るカメラとか、撮影技法とかには特に詳しくない自分が見てもこれは良くないと思ってしまうような場面が多く、そこがかなりノイズになってしまった。

ストーリー的にも、国王が決断に至るまでしか描かれておらず、何か目につくような展開があるわけでもないので、そういった事実がありましたということを確認する以上のものは感じられなかったかなぁ。

(2020.160)
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