がんがん

class workのがんがんのレビュー・感想・評価

class work(2016年製作の映画)
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「いってらっしゃい」

「いってきます」

なんて優しい言葉のやり取りなんだろう。

これって世界一優しい言葉なのかもしれない。



頑固な職人の父親と、将来を悩む中学生の娘の物語。

14分のショートフィルムです。

https://youtu.be/RKqgSZf7R2s











職人気質のお父さん。

娘を褒める役目は亡くなってしまったお母さんに任せていたので褒め方がわからない。

よくがんばったね。えらいね。努力したね。なんて簡単な言葉も言えない。

職人だから。

想いをカタチにする仕事をしている人だから。

想いを言葉に乗せることができない。

だからガラス細工に想いを込めて。キラキラした想いを込めて。娘への光り輝く愛情を込めて。

隠れて作っていたガラス細工が娘にバレていたから。


「いってらっしゃい」

(チョコありがとうな)

(ガラス工房のこと真剣に考えてくれてありがとうな)

(お父さんのことを助けようと思ってくれてありがとうな)

(お母さんの想いを繋いでくれてありがとうな)



思春期の娘。

お父さんの仕事を助けたいのに意地をはってしまう。素直になれない。

高校まで行かせてもらったら、大学まで行けってきっと言われるのだろう。学費は大丈夫なの?うちにそんな余裕はないよね。

だったらもう高校へは行かず、お父さんの仕事を手伝うよ。

そう決めているのに、口に出る言葉はお父さんへの反抗ばかり。

思春期だから。素直になれないから。

チョコに想いを込めて。お母さんのレシピに想いを込めて。バラのガラス細工のデザインに想いを込めて。


「いってきます」

(ハンコを押してくれてありがとう)

(わたしの考えを尊重してくれてありがとう)

(わたしをいつも大切にしてくれてありがとう)

(わたしを愛してくれてありがとう)


2人の間でかわされた優しい言葉。

面と向かってはまだ言えない優しい言葉。


それは出かける時の合言葉。

それは親子の愛言葉。


「いってらっしゃい」

「いってきます」





class work→授業

チョコレートの頭文字のcがGhanaのgになると

glass work→ガラス細工

お父さんの愛情が詰まったガラス細工に変わると言う魔法。

なんて綺麗なタイトルなんでしょう。
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