がんがん

マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザインのがんがんのレビュー・感想・評価

3.5
みんな大好きウニッコ(マリメッコで一番有名な花のデザイン)の生みの親であるマイヤ・イソラのドキュメンタリー。

創業者であるアルミ・ラティアから「花はそのままで美しいから、マリメッコでは花のモチーフは用いない」との命があったにも関わらず勝手に作っちゃって、結果ウニッコが一番有名なモチーフになってしまったというエピソードがジワる。

マイヤ・イソラにとってデザインをすることは「その人を食べること」と表現したのが大変興味深い。19歳で出産してすぐに旅に出る、3度の結婚、すぐに人を好きになる、天才のその源泉となるモチベーションに「旅」と「恋」というキーワードがあるのがとても面白かったです。

マリメッコ好きな方はパンフレット(手のひらサイズ、オールカラー、100ページ超え、ファブリックデザインが載ったページ多数)めちゃめちゃおすすめです。

2016年に西宮でやってくれたマリメッコ展がとても素晴らしかったのでまたやってほしい。






第95回アカデミー受賞式を経て。

エブエブオスカー7冠おめでとう!!

作品賞は予想通りでしたが、まさか監督賞や脚本賞まで押さえて7冠はびっくりしました。けつあながオスカー獲っちゃうとか世も末ですよ!トロフィーをけつあなにぶっ込んだら最高の受賞式になったのに…

アジア系移民として、クィアとして、マイノリティとしてのアイデンティティの葛藤をマルチバースという映画だからこそ表現できるマジックによって見事に描き切った。そんな素晴らしい本作が作品賞を獲らないわけがないんですよ…ほんまに感無量でした…

映画というカルチャーにおいてはマイノリティへの差別や偏見の描写もなくなっていって、それが普通に普通なこととして描かれているフェーズに入って来ています。ポリティカルコレクトネスも正しく理解されてきました。2017年の作品賞であるムーンライトあたりからここが主題となってきた作品が選ばれてきましたが、10年経過となるもうあと3〜4年もすればこのフェーズは終わると思います。その時は昔のようにエンタメ作品がオスカーを獲る時代が戻ってくると思います。もうその頃には誰も傷つけられない、誰も悲しまない、誰も排除されない。確実に時代は進み、良くなっていってる。

「人は未知なるものに出会うと怖がってしまう。だからこそ優しくしよう。親切にしよう。そんな戦い方もあるということを学ぶことができた」

エブエブのこのメッセージに今の時代の希望が込められていると思います。
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