回想シーンでご飯3杯いける

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.7
A24作品と言えば、技巧や雰囲気を重視し過ぎて、作品トータルの魅力やメッセージ性に乏しいイメージがあったのだが、この「ア・ゴースト・ストーリー」は、死者の孤独と、彼から見た「生きる」事へのメッセージがはっきりと主軸にあり、今まで観たA24作品の中でも1、2を争う魅力を感じた。今までの中で好きだった「スイス・アーミー・マン」も死者が出てくるし、共通する部分が多々あるように思う。

そんなメッセージ性を支えるのは、やはりこのスタジオならではの技巧で、冒頭の「グワーン」という異音の絶妙なぼかし方が、正に職人技。

そして何と言ってもゴーストが被るシーツ! このシーツの長さと、素材感、しわの寄り方、そして中が見えそうで見えない目のくりぬき。この辺を納得いく状態にするまでで軽く1か月ぐらい費やしたんじゃないだろうか笑 このいかにも「ゴースト」な素材感が、僕達の想像力を見事に引き出してくれる。秀逸!