御朱印帳

羅生門の御朱印帳のレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
3.2
昭和25年、約70年前の作品。

「原作 芥川龍之介」ながら、他の話も繋げているので、ストーリーは大きく異なり、殺伐とした平安時代の羅生門という舞台が残る程度。原作は大正4年なので、昭和25年の約30年前、映画を通じてあまり知られない大正時代に繋がるのはうれしい。

ベネチア国際映画祭でグランプリ、敗戦で打ちひしがれていた日本人にとって、湯川秀樹のノーベル物理学賞受賞、古橋廣之進の競泳世界記録樹立などとともに希望と自信を与える出来事と言われる。

一つの出来事を、時間を戻して複数の視点から描く作品は今でもあるが、全く異なる説明をさせるのはあまり見たことがない。昭和25年当時の時代劇を考えても、手篭め、今でいうとレイプシーンは衝撃的であつたと思われる。また、裸の三船敏郎は躍動、野生的で4年後の七人の侍に繋がる。
京マチコもアクションをこなす。当時では先進的な役柄。
森雅之は有島武郎の息子、千秋実は若い。

ボレロのような曲が流れるがボレロではない。黒澤明が映像に合わせて作らせたもの。

レンタルDVDでも字幕は無く、パッと見では言葉が聞き取りにくく、理屈抜きで楽しめないかも知れないので、予め「予告編を検索」からの予告編やwikiでも見てから鑑賞した方が理解が早いかもしれない。
私の場合は一度鑑賞してから「黒澤明作品解題」という本の解説を読みました。
また、本棚にあつた原作も読み返した。原作が短いのが有難い。
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