まりぃくりすてぃ

オン・ザ・ミルキー・ロードのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

1.4
内戦終結を寿いで真の平和を願ってこれ作ったのかは、はなはだ怪しい。悪い意味で不真面目な映画だから。
主要女優二人(スロボダ・ミチャロヴィッチとモニカ・ベルッチ)の自己アピ臭がものすごく鼻についた。老若男女すべての観客を幸せにしようなんて務めは頭にないんであろう躍る彼女たちのせいで、低俗なミスコン見せられてるみたいな気が時々した。
主役のミルクマン・コスタ(エミール・クストリッツァ。こいつ、監督自身か)は、キモメンの上に表情ゼロ。巨匠ちばてつやさんの漫画内にしかいないはずだったこういう見かけの男性は、ギターが上手いとか実業家としてバリバリだとか消防士として大活躍とかサッカー選手であるとか、何か一つでもいいから(女にゃ真似のできないような)凛々しい動きと合わさった時に輝きだすタイプであり、単に大人しく変なスタイルで牛乳運んでるだけで美女二人にモテようなんて、甘いよ。雨漏りの時の左右に鍋のシーンだけは絵として面白かったけど、でも、そんなのは日本の漫画雑誌にしょっちゅう出てきそうな凡々アイデア。
だから、ラスト45分間ぐらい、コスタと嫁(モニカ)がいつまでもいつまでも逃げ延びようとするので、「早く死ね。早く死ね」と私は祈りながら観た。
そしたら、途中でモニカが「私の美しさとあなた(コスタ)の優しさは、みんなの悪意を生むのよ」と言った。何だ、あんた自分で全部わかってんじゃん。────最低点(1点)にしようと本当は決めてたけど、彼女とシナリオの自覚に免じてちょっとだけ加点してあげる。それと、血で行水するアヒルたちが熱演だったから。
映画内の人間たちがことごとく醜悪な一方で、動物たちはみんないいひとばかりだった。もしも爆弾シーンで実際に羊を殺してたとしたら私は監督を絶対に赦さないかんね。
動物はみんな真面目だ。動物は人間と違って本当に真面目。あなたたち(動物)にチュッ。