ベルサイユ製麺

キャットファイトのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

キャットファイト(2016年製作の映画)
3.6
他のレビュアー様のレビューを読んで、もう観たくて観たくてたまらなかった作品です!
とにかくジャケ最高…。トリミングのバランス、フォントのセンスも100点。このグラフィックが施されたTシャツ、いやコーチジャケットが欲しいです!
肝心の作品はというと…やっぱりバカバカしくて良い!観るのがバカバカしいのでは無くて、しっかりとバカバカしく作ってます。

パーティで思いもかけず再開した同級生の2人。かたや出席者。かたやバイトの給仕。
バスキアの紛い物みたいな作風でアーティストを志すも一向に芽が出ないのが、ジャケットで歯を食いしばっている金髪のアシュリー。軍需関係の事業を営む旦那を捕まえてウッハウハのプチセレブが、ジャケットでチョークスリーパーをガードしているアジア系のヴェロニカです。
この2人が、マウンティングとも言えない様なしょうもない揚げ足取りをしあっているうちにウッカリ手が出て、はい、CAT FIGHT!!!です…。
2人を取り巻く状況やその後の顛末はアメリカの社会問題を黒く浮かび上がらせる、ちょっと知性派コメディ…と見せかけての結局、バカの殴り合い。で、→敗者の転落人生→リターンマッチ!…が、繰り返し丁寧になぞられます。Japanese famous gag method =TENDONです!
コレ、それぞれのタームの終わりに来るのが取っ組み合いじゃなくてディベートや騙し合いだったら知的なコメディに見えなくもないと思うのですけどね…。
CAT FIGHT後、目を覚ますたびに軽いパラダイムシフトが起こってて、TVではその社会情勢を皮肉るスタンダップコメディが映し出されているのだけど、それは全然ウケて無くて、その後に出て来るヨゴレ芸人“おならマシーン”には大爆笑が巻き起こるという…。映画自体、全編スタンダードサイズのビデオテープを彷彿とさせる画質で、「何が起きても所詮はTVの中の事でしょ?マスメディアは嘘しか言わないんでしょ?」って気分ですかね?いや、ホントに徹底してます。意地の悪い事ですねぇ。…最高ですよ!
「殴り合いはちょっと…」という方もいらっしゃるかと思いますが、心配ご無用!今作のケンカ描写、超ユルユルでとても当たっているようには見えません。寧ろ仲良しなのでは?なんて。誰でも見れます。(オススメという意味ではありません!)
劇伴のチョイスも、大衆的なクラシックなどが空虚に響いて大層ご機嫌なのですが、個人的にはケンカの導入はスペクトラムの『サンライズ』(スタン・ハンセンの入場テーマ)だったら文句なしだウィーーーー‼︎

監督のオヌル・ウンサルさんはトルコ人なのかな?アメリカ社会を正面切って馬鹿にする態度が超気に入りました。どんどんこの調子で作品撮って欲しい!なんならキャットファイトシリーズでも良いです!…寧ろ、全ての映画がキャットファイトでも良い!