背骨

バトル・オブ・ザ・セクシーズの背骨のレビュー・感想・評価

4.5
男と女の優位性を争う代理戦争に祭り上げられた世紀の茶番は、ふたりにとっては自らの尊厳とアイデンティティーを取り戻すための闘いでもあった。

その一戦には多くの人の思惑が絡み、ビリー・ジーン・キングとボビーも周りからの期待を背負って臨むが、試合が進み真剣度が増すにしたがって純粋な個の闘いへと昇華されていく。

さらにふたりがその球の打ち合いを通して「自分らしく生きる」事に向かって共犯関係になっていくのが美しい。

それを決して言葉で説明するなんてヤボな事をしないという事も含めて…。

その一戦を代理戦争に仕立てた人々は、その勝敗そのものにしか興味がなかったけど、ふたりにとっては自分の中で「こう生きていく」と心に決着をつけられたという意味においてはどちらも勝者だっただろう。

なんと言ってもエマ・ストーン。
とにかく最高だった。

重圧を背負い、負い目や引け目を感じながらも「ひとりの人間として尊重されたい。そして自分自身が胸を張って自分らしく生きる事」へ向けて戦うビリー・ジーン・キングを演じる彼女が流す涙にこちらも涙腺崩壊した。

男尊女卑時代の戦う女性の物語にして、性別問わず「自分らしく生きる」ために自分と向き合う普遍的な物語でもある。

どんな人にも繋がる物語。
万人にオススメしたい映画です。
背骨

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