せんな

羊と鋼の森のせんなのレビュー・感想・評価

羊と鋼の森(2018年製作の映画)
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しんみりといい映画!

調律師の物語ということで、ピアノの音をたくさん聴けるので耳が幸せでした。曲を弾いてるのももちろん良いのだけど、ピアノの音単音をこれだけ多く聴けるのは、ほかの映画ではなかなか無くて素敵です
硬い音・柔らかい音とか、正直違いはなんとなくしか分からないけど、存分にピアノの音を聴かせてくれる見せ方に惚れ惚れしました

小説原作らしく、文学的な表現が多くて、それを違和感なく映像に落とし込んでるように感じました。特に森のシーンが印象的だった。心に響いた台詞もとても多く、何度も見てもっと解釈を深めたいし、原作も読んでみたいです

自分に自信が持てなくて、たくさん失敗も重ねるんだけど、悩みながらもまっすぐに調律師としての仕事と、ピアノを弾く人たちと向き合っていく、外村を演じる山崎賢人が見事でした。外村の周りの人々がみんなあたたかく見守ってくれているのもあって、失敗にハラハラしつつも、こちらも外村を「がんばれ…!」と応援しながら観ていました。
優しくて頼もしく、時には厳しく外村を導く、鈴木亮平演じる先輩調律師・柳がとても魅力的!紋付袴姿が拝めたりライブハウスのシーンなんて完全に柳さん中心の物語だったし、とても重要で魅力ある役だった眼福…!

森永悠希が出てくるパートがすごく好き。あのシーンの最後の笑顔。あれひとつであの場の2人がどちらも救われてるのがわかって心動かされました。

映画全体を通して描かれる、佐倉姉妹パート。外村が初めて2人と出会う場面、あの一瞬の立ち居振る舞いとピアノの音だけで2人のキャラクターをこれ以上ないくらいきっちり表現しててすごい…!ピアノの音色ってあんなに変わるんだ
お互いを思いやって、自分の才能に悩んで。そんな2人が最後に出した結論。ラストシーンに心が晴れやかになりました。

エンドロールへの入り方も好きだった。ラストシーンから響き続けるピアノの音で、最後の最後まで聴き惚れることができました。

ピアノに向き合う人々の思いとピアノの音を、じっくり堪能できた映画でした
せんな

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