このレビューはネタバレを含みます
導火線に火が点けば、飛び上がっていく。
勢いよく、火花の尾を引いて… 空へと。
ヒュルル…と、不安そうな、か細い音。
ドーン!と空気を震わせて、夜空に大輪の花を咲かせる。だから人は、それに惹き付けられるんでしょう。
弾けて、花を咲かせなければ、花火はただの火薬玉ってことになるのかな?燃え上がれず、燻ったまま落ちて…地面に叩き付けられて砕け散るのかもしれない。
花火を見上げて、どこか切なくなるのは…その在り方にどこか「生きる」が透けて見えるからなのかもしれない。
お笑い芸人の生き様にも、それは見えてくる。
他人に自分を伝える事の難しさを痛感する。
それでも諦められない…その姿。
なんて愛おしいんだろう。
寂しい…誰かに深く理解して欲しい。
何度も傷付き、恐れたりもして…それでも飽き足りず、他人を求めるのに似てる。
でも、これは解ってる…
どんなに親しい人でも、完全にシンクロする事なんてできやしないってこと。
刹那、舞台の上で繰り広げられる漫才。
同じものを見て、同じように笑ったりする。
花火を見て、同じように綺麗だと思うみたいに。
不可能が可能に近付いた…
その瞬間の尊さ。
ライブの熱狂の中でも感じるもの。
作品を観終わって、少し引いたところに心を置いてからジワリと…温い。
たぶん私には、もう少し時間が要る。
その温さに安心するには、まだ早そうかな。
草臥れたな…って。
一人で座り込んだ時。
味気ないツマミでお酒を飲む時。
この作品が、そのひと休みを、ほんの少しマシにしてくれるんじゃないかな…
寂しいようで、悲しいようで…
少しでも笑えれば無くなりそうな…
お前ら全員不幸になって死ね!
くっそエモいわー…
(。-_-。)
疾走感だけがエモさじゃない。
こういう揺らぎも…エモい。
挽歌も、やっぱ必要なんだねぇ。
軽く描かれた後日談も好印象。
言いようのない気持ちを紛らわせて…
まだ続く明日に、よっこいしょ!って腰を上げられる。そんな風情…嫌いじゃない。