こたつむり

最低。のこたつむりのレビュー・感想・評価

最低。(2017年製作の映画)
2.7
♪ 迷ってるうちに 日が暮れて前が見えない

AVで人生が変わった女性の群像劇。
…という受け取り方で良いのでしょうかね。
正直なところ、とても古い価値観で作られた物語だと思いました。

ちなみに、原作は紗倉まなさん。
現役のAV女優さんですね。もしかしたら、売れっ子さんなのでしょうか。そちら方面に疎い僕でも耳にしたことがあります。

そんな彼女の視点で綴られた物語ということは、本作はそれなりの“リアリティ”を包有しているのでしょうが…どうしても感情を共有できませんでした。これは男性視点だから思うことなのかな。

それにアダルトな業界も日進月歩。
インターネットという黒船がやって来てから20年以上が経ち、AV女優という立ち位置も大きく変化しています。

そんなAV女優を忌むべき職業として捉えているところからして、大いに違和感。海千山千の業界人に騙される現実もあるのでしょうが、基本的には“自分に自信がある”から出演できると思いますからね。蔑む言動は“やっかみ”に過ぎません。

だから本作の何が「最低。」なのか。
最後の最後まで分かりませんでした。

何はともあれ。
インターネットで検索すれば、裸、裸、裸という現代。素人と玄人の境界線も曖昧になりました。本作の価値観では、時代を鋭く切り取ることは難しいと思います。

まあ、そんなわけで。
アダルトビデオによって人生が変わった(という建前の)女性たちを描いた物語。瀬々敬久監督らしい“地に足が付いた描写”は濃厚ですが、味付けは淡々としているため、何も考えずに臨むと飽きると思います。

ただし、題材が題材ですからね。
“くんずほぐれつ”的な場面は多いです。その辺りに着目すれば…好きな人は楽しめるのかも…。個人的には湿っぽさが足りなくて“映画のためのベッドシーン”に見えてしまって…残念でした。

というか、瀬々敬久監督はピンク映画出身。
本領発揮すれば、もっとヤヴァイものが撮れたと思うんですが…うーん。
こたつむり

こたつむり