西村大樹

赤線地帯の西村大樹のレビュー・感想・評価

赤線地帯(1956年製作の映画)
3.0
物語としては、さほど盛り上がるシーンはない。しかし、そこに生きる人々のリアルな声が、劇映画でありながら伝わってくるのが凄い。
そして、女性達の描き方が見事。溝口監督の粘りの演出が、画面を通してでも分かってくる。生きる迷い、それを吹っ切っきりここで生きることを決心した姿、そしてこの場で働くことへの恐れ。それがにじみ出てくるのである。
先にも書いたとおり、本作は劇映画でありフィクションである。それでもリアリティを感じてしまうのは赤線が存在していた時代を経験しているからであろうか。
西村大樹

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