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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のhikarouchのレビュー・感想・評価

3.6
予想と違って、はっきりとした喜劇だった。これはこれでアリ。というか、チャーチルという人を題材にするのなら、このアプローチしかないのかもしれん。しらんけど。

ちょっと気になったのは、字幕だとチャーチルのオモシロ台詞のオモシロの部分だけ削られていることが多く、字幕だけ追いかけてると彼のユーモアが伝わらないんじゃないかな、というところ。

見終わって、あー面白かった!ってなったんだけど、よくよくこのお話の中でチャーチルがやったことを思い返すと、要するにモチベート=民意高揚だけ。なにゆえダンケルク救出作戦がうまくいったのか、なにゆえイギリスはナチスドイツとの死闘をサバイブできたのかという部分は、何も描かれない。彼自身が戦場で命を張っているのでも当然ないわけで、どうしても最後方から号令だけをしている人にも見えてしまう。

実際には、彼自身巨大なプレッシャーに苛まれたり、家族や親しい人々も戦火の中に出ていたりなど、様々な葛藤があったのだろうと推測するのだけれど(不勉強ながら知らないが)、この映画では感情的な高揚のみにフォーカスしているのが、個人的には物足りなかった。
地下鉄で民衆と語り合うという史実にはないフィクションシーンも、その役目のために作り上げられていたと思う。(街に繰り出して市民と会話をしていたのは本当らしいけど。)民意高揚という意味では、ヒトラーと何が違うんだっけ、とイジワルな見方もしたくなってしまう。
一定レベルでは全然面白いけど、ちょっとそんな危うさもあるのかなと。

ところで、原題のDARKEST HOURって、すごいかっこいいじゃん。
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