広島カップ

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男の広島カップのレビュー・感想・評価

3.8
辻一宏の施す特殊メイクは驚異的です。
チャーチルの顔のアップが頻繁に出てきますが「これがあのゲイリー・オールドマン?顔全然違うじゃん」と必ずなるし全く違和感が無い。
アニメでルパン三世が銭形警部のマスクを被るのとは訳が違う、『猿の惑星』で人間から猿になるのとも違います。顔が変わってもゲイリーはゲイリーの演技ができているのが凄い。これを観るだけでも価値があります。

チャーチルの生涯についてはよく知らなかったので改めて調べてみましたが、それこそ山あり谷ありの人生でした。本作はその内のごく一部で第二次大戦中のヒトラーとの対峙における苦悩を描いています。
ヨーロッパ大陸でのナチスの勢力拡大に対しヒトラーとの融和政策を取るべきという周囲に対して、断固戦うべしという立場をとったチャーチル。
だが彼自身の心の中にも迷いが生じ、市民に直にその気持ちを聞きに行くシーンが印象的。ロンドンの地下鉄に単身乗り込んで「君達の意見を聞かせてくれ」とやり、俺の考えは間違っていないのだと確信を得るチャーチル。

本人への興味は勿論大きいのですが、政治家というものへの関心もかき立てられます。こんな政治家って日本に居たかな?いや居て欲しい!と思わせる。
ヒトラーと真反対の民主主義者ですがヒトラーと同じく言葉の力が強い。
彼の重要な言葉をまとめるタイプライターの女性(リリー・ジェームズ)がいいポジションで登場してきています。

桜を見る会の一件で自分達に都合の悪い書類をシュレッダーにかけたことを追求され苦しい答弁をする小さい政治家達に、これを観なさいと言いたい。
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