たつかわ

人生はシネマティック!のたつかわのレビュー・感想・評価

人生はシネマティック!(2016年製作の映画)
4.7
1回目は泣けて、2回目は笑える

ダンケルクが舞台となったダイナモ作戦後のイギリスでは、海はドイツの潜水艦(U-ボート)や空軍による空襲でお手上げ状態そしてアメリカは戦争に参戦していない状況で本作は始まります。

当時は、男性たちは戦場へ行ってしまい、イギリス本国では女性が残り、工場で銃などを製造していました。そして映画館ではドイツやアメリカと同じようにプロパガンダ映画が流れていました。偉い人からは「楽しく、事実を元にしたものを」ということで、コピーライターの秘書だった主人公が書いた広告コピーが目に留まり、脚本家としてスタートしました。

本作に登場する俳優の実力を考えずに主役に抜擢したり、いろいろな人が作品に対して口を出すのは今の日本の映画界共通する要素があり面白い。また、空襲の中で主人公の脚本づくりは困難なのに、さらに女性、既婚という理由で給料が安かったりと過酷だったりする。そして昔の作品作りの工夫も垣間見えて興味深く観ることができます。

ビルナイ演じる大物ベテラン俳優が最初は頑固の塊のような人だが、映画の為だということで、前述の実力のない俳優を子供をあやすように稽古したり、歌などで鼓舞したり、空襲の中でチームをまとめる役に徹するところは素晴らしい。

映画作りの映画であると同時に、脚本家どおしのラブストーリーであります。2人の脚本家ならではの洒落た言葉のやり取りが楽しく、また美男美女とは必ずしも言えないところが戦争中での恋愛としてしっくりきて良かった。

最後、しらっとあのシーンを挿入するところは、強引ではあるものの思わずウルッときてしまった。

おススメです。
たつかわ

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