まりぃくりすてぃ

誰がための日々のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

誰がための日々(2016年製作の映画)
4.3
大人の映画。映画鑑賞が好き、または人間が好きな、23才以上の人になら、本作の良さは必ず伝わりそう。。

これは香港映画だけども、台湾映画によくある “家庭の地味なゴタゴタを怒号場面含みで観客に押しつけてくる” 薄シナリオな感じが最初めんどくさかった。
が、各人物の痛みとかが徐々に無視できなくなってくる。
澄んだ目で突っ立ってるだけでも演技になっちゃう主演男優ショーン・ユーら、みんな素晴らしく、どこにでもいそうな “味つけの丁度良さ” が常にあった。
リアリティーに保証された映画世界って、こんなにも強い。
教会での“弾劾裁判”からチョコレートマン、のとこが特に引力あった。ストーリー、悪くないよ。

そして終盤、お父さんが言う。「人間は、クズになるのは簡単だ。だが、私はもう逃げない」
ある意味ではいつもいつもクズ寸前である、ゴチャゴチャゴチャゴチャした地球。神不在のその片隅でいかに「愛を諦めないか」が私たちの精神性のすべてなんだから、共振。泣けるシーンは特になかったけど。
そういう厳しい介護殺人(&躁鬱病)物語が最後の最後にどう救われるか。昇華の美しさまではなかったけど、“昇華の可能性”が優しかった。


介護モチーフだからついでに言っとく。日本の総理大臣とか厚生労働大臣とかはいつもだいたいガキだから、これ観ても何も感じないだろう。あくまでも、子供じゃない人用の佳作映画(笑)。
あと、私が人間好きか人間嫌いかは、秘密。いずれにしても、ビルの屋上から誰かを突き落とすつもりは全然ない。(←観た人にはわかる。)