このレビューはネタバレを含みます
単に歴史的な出来事を映画にした所謂ドキュメンタリードラマな映画ではない。
ニール・アームストロングという実在したひとりの男を描いた完全なるヒューマンドラマで主観的な映画。
冒頭がその象徴。
飛行機?に乗ったニールのシーンから始まるが、引きで飛行機を撮ってるシーンは無い。全てコックピットからか翼の部分から撮っている。
ノーラン師匠がダンケルクで敵の姿を一切映さなかった手法に似ていて、観客を登場人物と同じであるかのように思わせる撮り方。
だから所々史実とは異なる描写があっても、それを「事実と違う」と指摘するのはお門違い。
なんならラスト。
月から帰ってきたニールが奥さんと再会するシーンで終わってる。
一見すると感動するシーンのように思えるけど、あの後本物の二人は離婚している。
デイミアン・チャゼルの好みなのか、セッションもララランドもラストシーンは二人のシーンで終わってたけど、どちらもハッピーエンドに見せかけたアンハッピーエンド(バットエンドまではいってないと思う)今作も同じだ。
あの薄いガラス一枚隔てて向き合う二人の距離は見かけよりも遥かに遠いということなのか。
それはつまり、地球と月も見かけより遠くて辿り着くにはいくつもの困難が伴うということなのか……。
若き天才チャゼル様に是非聞いてみたい。