やっぱりこの人すごいなぁ…
『桐島、部活辞めるってよ』で、生徒の中に1人だけエライのが混じってるぞ、と感じたのを思い出した。
松岡茉優には、即興でやっているんじゃないか、と思わせるくらいの瞬発力を感じる。
作り込んでいるというよりは、直感的に演技を吐き出しているような。
まぁ、佐藤二朗が一切即興をやっていないっていうくらいだから、実際のところはよく分からないけど。
個人的にちょっと惜しいなぁ、と感じてしまったのは、最初の1時間演技以外に見るべきところがあまりなかったこと。ちょっとスロースターターすぎて飽きがくる。そして、主人公のキャラクターに共感できるところはありつつも、重要なところで??と感じてしまう部分があったりしたこと。
とは言え、後半は本当に面白かった。この手の映画が比較的苦手な私でも引き込まれた。
重要な局面で使われた踏み込んだアップもとてもいい。松岡茉優の表情の上手さも相まって、ヨシカの感情にぐっと飲み込まれていく。
以外ネタバレ↓
特に逆ミュージカルとも言えるシーンには胸を打たれた。現実から妄想へ、ではなく妄想から現実へ。これまで妄想で関わり合ってきた街の人々が、ミュージカルでは赤の他人に戻りたった1人のミュージカルが展開される。
楽しいはずのミュージカルが最も孤独なシーンになっている。うまい…
狭い一人暮らしの玄関の四角いスペースに、差し込まれるように繰り広げられるキスシーン。今まで距離を取っていた世界に一気に近づくにはちょうどいいスペースだったのかもしれない。
勝手に震えてろってそういうことだったのね。