たつかわ

心と体とのたつかわのレビュー・感想・評価

心と体と(2017年製作の映画)
3.8
恋愛は難しい

「ホワイト・ゴッド」という犬版猿の惑星で、食肉加工工場での牛の解体シーンから始まったが、本作でも同じようなシーンが最初に入ってくる。ホワイトゴッドではあまり意味のないシーンではあったが、本作では後半に伏線となり強力な印象を残す。食肉加工工場が舞台とはいえ、作品全体は美しい色彩で描いている。

主にラブロマンスではあるのだが、事件により派遣された女性精神分析医の質問の内容がセクハラじゃないかと思う内容であったり、女性主人公がとても繊細であり、恋愛がわからないからというとレコードショップにいき大量のCDを試聴しようとする。コメディのようでもあり、ファンタジーでもある。だが、女性主人公の記憶力が凄いという設定がこれ自体は面白いが本来のテーマからかけ離れてしまっているので蛇足だと思う。

冒頭から何度も登場する鹿が、最初は全く意味が分からなかったが、話が進むにつれて、とてもしっくりきた。特に別の鹿を走りながら探すシーンがとても印象に残っている。

しかし、ある音楽が終了すると一気に現実世界に引き込まれていく。乳房が登場するのだが、それが霞むほど驚くシーン、恋愛の難しさを感じさせる。

ある音楽が本作で3回登場するが、エンドロールで流れてくる歌詞を読んでいると深読みしたくなる。

それにしても本作で一番驚いたのは、男性主人公がハンガリーの中堅もしくはベテランの演技経験が豊富な俳優だと思って観ていたのだが、演技が初めてだということ。

おススメです。
たつかわ

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