シズヲ

ドラゴンへの道のシズヲのレビュー・感想・評価

ドラゴンへの道(1972年製作の映画)
3.7
ブルース・リーが監督・脚本・武術指導・主演を一手に担った作品。実際にローマでロケが行われている辺りに当時のリーの勢いが感じられる(流石に格闘シーンはそれっぽいセット使ってるのが分かるけど)。主人公が思いの外三枚目じみた性格なので冒頭からユーモラスなシーンが続くし、基本的にけっこうコミカルな作風なのがおもろい。特に前半はイタリアへ渡った主人公の田舎者っぷりが顕著なのでちょくちょく笑ってしまう。リーの夫人によれば本作の彼が一番素に近いらしいのはなんだか興味深い。

単純明快なストーリーやコミカルな要素も相俟って良くも悪くも緩い展開が目立つものの、屈強な肉体から繰り出される格闘シーンは流石の切れ味。凄まじい筋肉を見せつけながら準備運動をするだけで絵になるのはやっぱり凄い。ポップな作風なだけにアクションのマンガ的性質も強く、純粋な徒手のみならず投げ矢やヌンチャクなど色々と趣向を凝らして観客を楽しませようといるのが印象的。途中で敵役として変な発音の日本人空手家(役者は韓国人だ)が出てきたのは笑う。

終盤にはブルース・リーVSチャック・ノリスという一騎討ちが見られるのも凄い。コロッセオで繰り広げられる達人同士の死闘はそれまでの緩さを吹き飛ばす程のインパクトがある。でもオネエの悪役の「タン・ロ~~~ン!!」という声が何度もコロッセオにこだましたり、熾烈な戦いをそこらへんの仔猫が見届けるのはちょっとフフってなる。
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