アレッサンドロ・コモディン長編二作目。二人の少年が森の中を走っている。なにかから逃げているようだ。その逃避行はヤン・ニェメツ『夜のダイヤモンド』ぽくもあり、フランチシェク・ヴラーチル『Shades of Fern』ぽくもあるが、全く説明はされない。途中で銃声がして近くまで行くと、山小屋の主が銃で撃たれて死んでいた。逃避行パートが終わると短い第二部に入る。三人の男女が順番に、地元に伝わる狼の伝説について語る。それぞれ物語も結末も異なるが、狼が人間の少女を狙っているという点だけは共通している。そして、第一部と第二部が融合したような第三部が始まる。前作『Summer of Giacomo』以上にアピチャッポン志向が鮮明になったように感じる。というか『トロピカル・マラディ』まんまでは。少なくとも前作のようなマジカルさはなく、アピ先生のマジカルさもなく、量産型"映画祭映画"という感じ。