亘

いつだってやめられる 10人の怒れる教授たちの亘のレビュー・感想・評価

3.9
【イタリア最高の頭脳の逆襲】
ズィンニ率いる研究員ギャングは逮捕され二度と活動ができないはずだった。しかし彼らの才能に目を付けた警察は、彼らを利用して新たな合法ドラッグの捜査をしようとする。ズィンニは新メンバーを加え活動を再開する。

「いつだってやめられる」研究員ギャングシリーズ2作目。前作のキャラ濃いメンバーに3人加え、さらに前作よりアクションやドタバタ要素が増している。なかなか第1作を超える第2作目というのは珍しいと思う。特に前作以上に各自の得意分野でボケるシーンが多いのが見どころ。

女性刑事コレッティは、ローマではびこる合法ドラッグの対処に頭を悩ませていた。保健局が特定・禁止している違法ドラッグと異なり、合法ドラッグはその成分が不特定なのだ。そのため取り締まりのためにはまず成分の特定が必要。彼女はズィンニたちの才能を生かして17の合法ドラッグ特定・禁止を目論むのだ。

合法ドラッグ特定にあたりズィンニは全メンバーに加え新メンバーを迎える。新メンバーの教会法学者、エンジニア、解剖学者もまたそれぞれキャラが濃くて、前作までのカオスに拍車がかかってる。新たな10人のギャング団は順調に合法ドラッグの特定を進めていき17の合法ドラッグを全て解明する。これでめでたく解放かと思いきや、そこから新たな課題:ソポックスが現れる。ソポックスは特定が難しく警察も手を焼くドラッグ。コレッティはズィンニたちに追加でこのドラッグの特定を要請するのだ。

初めは嫌がるズィンニだったが他メンバーの「役に立てるなら」という言葉でソポックス特定に挑む。彼らは才能を反社会的に使い、その後は単純労働で才能を無駄遣いしてきた。しかし彼らは、久しぶりにその才能を社会のために使える時が来たのだ。短いセリフだけどそんな彼らの思いが現れているように感じた。

このソポックス特定が大きな波乱を呼ぶ。ソポックスの成分がピルから抽出されることを知るとピルを輸入する荷物を追い始める。その過程で彼らの優秀な頭脳を使うのだが、同時にポンコツさも露呈してまさにドタバタ。この過程では得意分野を生かしたボケも何度も出てくるし、間抜けなアクションもあり笑える。ヨーロッパ的なシュールな笑いが多いけど前作よりもアメリカ的な爆笑するポイントも多かった。

ソポックス特定のミッションに並行して新たな問題も現れる。[ソポックスを製造販売する謎の元化学者]と、[警察とズィンニの協力を問題視するマスコミ]そして[出産間近のズィンニの妻ジュリア]である。謎の化学者とはまさにソポックスを巡って対決し、マスコミはコレッティ警部経由でズィンニたちの任務を難しくし、ジュリアはズィンニを個人的に任務遂行しづらくする。それぞれの課題が分かりやすいことで並行するストーリーの絡みと展開が予測不能になっていた。

そして前作に引き続き次の作品に引っ張る終わり方。ズィンニたちは謎の化学者たちのアジトを襲撃しクロマトグラフィーも発見したが、そこはもぬけの殻。それは罠でズィンニたちは警察に捕まってしまうのだ。服役中のはずのズィンニたちが捕まってはコレッティ警部の水の泡だし彼女がマスコミにも叩かれる。さらにズィンニはジュリアに会えなくなってしまうかもしれない。まさに先が読めない秀逸なラストだった。

印象に残ったシーン:ギャング団がワゴンでバイクを追うシーン。ギャング団が貨物列車を追うシーン。
亘