一見頼もしいけれどポーカーフェイスで何を考えているのか解らない兄貴・水島道太郎を尊敬して彼についていくうちに、下克上を付け狙う水島の謀略に巻き込まれてどんでもない暴力沙汰に巻き込まれるチンピラ・川地民夫のドライブ感満載の先の見えないドラマが結構ハラハラして結構面白かった。渋い水島道太郎はかっこいいヤクザのようにも非情なギャングにも見えるキャラクターのためこういう不穏な役柄を演じさせると結構ハマる。

組織、水島、水島に雇われたヒットマン宍戸錠、川地が絡み合う終盤の猿島(『仮面ライダー』でも有名なロケ地)の死闘も見所。

あと若干不自然な設定ではあるけれど水島と宍戸が戦友という設定がこの時代らしい。

山本直純によるスコアも決まっている。

クライマックスの海軍基地跡みたいな場所カッコいいー。「蘇る金狼」も同じとこ？戦中派の水島道太郎と宍戸錠。落ちぶれてどやに泊まってても小さなコサージュを胸につけてるジョーがかっこいい。可愛い編み込みのニット着てるの新鮮。注射片手に窓から病室入ってくる'関西方面の'長弘さんに殺られる深江さんの表情が素晴らしい。二重に裏切るチャコさんと水島道太郎の死体にコサージュ捧げて満身創痍で船に乗り込む民夫ちゃんを東京から呼ぶ稲垣美穂子の声。大人に振り回される戦後の若手・川地民夫の青春映画だった。

鈴木清順チックというより、清順が野口博志チック。線路際の格闘に組織、クラブ、迷宮。アパートの急階段や箱根山中の人物配置など、構図にハッとさせられる。
水島道太郎ら大人に翻弄される川地民夫がカワイソウ（とはいえお前が床で寝ろ）。うすら笑いの宍戸錠が光る。
山本直純の劇伴が格好いい。ドラムが力強い。