emily

きっと、いい日が待っているのemilyのレビュー・感想・評価

4.1
1967年、13歳の兄と10歳の弟、病気の母と仲良く暮らしていたが、病状が悪化し、面倒みられなくなり、二人は施設へ預けられる事になる。しかしその施設はしつけと称した体罰が日常化しており、さらにはいじめの標的にされ過酷すぎる日常が待っていた・・・

 コペンハーゲンの養護施設で起きた実話をもとに描かれており、その過酷な現実をしっかり描写し、その狭間から支え合う兄弟の深い愛が鳴り響く。見て見ぬふりの教師達、ただ”透明人間”になることがここで息抜き、永久許可書をもらいここからおさらば出来る唯一の道だという。二人が育てられた環境、母との間にしっかり根付いた”愛”。貧乏だったがそれは幸せな日々だった。母が残した物、壮大な愛は施設にきても変わらず二人を強く、未来に目を向けさす。誰も味方はいない。しかしそれでも少年たちはここに慣れ、賢くなり、少しずつ弟の夢がみんなの希望となっていく。子供達は忘れていた”夢みる気持ち”を徐々に徐々に思い出してくるのだ。それは不可能かもしれない。しかし夢見る事で未来はほんの少しだけ輝いて見える。それは自然な流れで子供達の間に一種の連帯感が芽生え、シーンを繋ぎ合わせていく。子供達の瞬間の凛々しい表情をしっかり捉え、芽生えた自分の真実の声に耳を傾けていく。

 絶望の日々の中で、小さな弟が立ち上がる瞬間。誰かが動かないと変わらない。その誰かは待ってても来ない。自分がやるしかない。子供達の底知れぬ可能性と強さに涙が止まらない。未来は自分の手で切り開く。そうして自分の声に忠実になる事は怖いし、失う物も多いだろう。しかし誰かがやらなくては未来は何も変わらない。人は守る物があれば、それ以外失う物はなにもないのだ。愛が強さを作り、強さは愛を与えていく・・
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