MASH

アナと雪の女王2のMASHのレビュー・感想・評価

アナと雪の女王2(2019年製作の映画)
4.0
言わずと知れた『アナと雪の女王』の続編。ディズニーアニメーションがこういうド直球の続編を出すのって珍しい気がする。"めでたしめでたし"のその後を描くのってかなり難しいと思うが、この『アナと雪の女王2』にそんな心配はいらなかった。ちゃんと1作目とは違うことをしているし、映像面に関してなどは前作とは比べ物にならないほどパワーアップしている。1作目を凌駕する…とは言い難いが、それでも期待以上の続編だったと言える。

まず、一番驚いたこと。映像だ。前作の時点で雪の表現などはかなり凄かったが、今回はレベルが違う。ワンシーンワンシーンがとんでもなく壮大で、『ロード・オブ・ザ・リング』とかを思い出させるほど。水や森などの自然のものの表現がさらにリアルになっているというのもあるが、それらのものの映し方が完璧だ。広大な土地や巨大な波が本当に大きく見える。当たり前のように思うかもしれないが、全てがCGでありながら実物感を観客に感じさせれる映像は他に中々ない。

そして、映像面でもう一つすごいと思ったこと。それはキャラの表情。ディズニーアニメーションの中でも一番キャラの表情が生き生きしている。リアルに近づけるのではなく、あくまでアニメーションである強みを活かした表情づくり。笑えるようなところでは大袈裟に、切ない場面では繊細に、そして盛り上がる場面では力強く。キャラが生き生きと描かれているからこそ、観客が物語に感情移入できるのだ。

歌も個人的には前作より好きだったりする。前作はすごくキャッチーであったが、全体的に似たり寄ったりな感じであった。今回は一つ一つの曲のテイストが違い、聴いていて飽きがこない。初めてディズニーでサントラを聴きたくなったほどだ。個人的にはクリストフが歌う「Lost in the Woods」が好き。なぜかこの曲だけ80年代のシカゴみたいだし、映像も何故かMV感強め。いい歌だからこそ余計に笑ってしまった🤣

ただ、テーマとしてはあまり目新しいものがなかったのは少し残念。「愛は永遠だ」というありきたりな結論。もちろん悪いわけではないが、前作のハッとさせられるテーマに比べるとややありきたり。あと、実際にいる北欧の民俗であるサーミ族をモデルにしたストーリーはディズニーとしては斬新だったと思うが、消化不良感が否めない。主人公一同の旅路もかなり省略されており、1時間40分という時間では描ききれていない。もう少し時間をかけてもよかったのでは?

だが、それらのことも気にならくなるほど素晴らしいのが、この物語の要であるエルサだ。このキャラクターは本当にディズニーを変えたなと思う。プリンセスといえば何もせずとも王子様が助けに来るというのが定番だったが、エルサはそんなものには頼らずに自分の道は自分で切り開いていく。自立した一人の人間として描かれているのだ。ネタバレになるので詳しくは書かないでおくが、エルサは最終的には文字通りプリンセスとかクイーンとかそういう次元を超えたものになる。その姿は男女関係なく憧れるものがあるだろう。

ストーリー面では「ん??」と思うところもいくつかあったが、今回は脚本ではなくビジュアル面を重視しているため、そこまで気にならなかった。むしろ良かった部分がそういう微妙な部分を補って余りあるほど良かったと言える。ディズニーの中でベストか?おそらくそんなことはないのだろう。だが、何故かすごく好きになってしまう。そんな魅力に溢れた作品。
MASH

MASH