さいごん

ボヘミアン・ラプソディのさいごんのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
4.3
先日たまたまつけたテレビで「映画で描かれなかったフレディマーキュリー」というような特集をやっていた。
最後の方しか見なかったので定かではないが、ラテ欄の情報から察するに要は史実に基づいたフレディの生涯(特にエイズになって死去するまで)を追ったものだったようだ。

まだこの映画を未見だった時ですら感じた言葉の違和感は映画を見終わった後に確信に変わった。
これは描かれなかったわけではなく「描かなかった」話だと。

この映画はとにかく全てがラストのライブシーン
へと繋がるように作られている。
そしてそれが驚く程のクオリティのライブシーンで溜まっていたモヤモヤを全てカタルシスに昇華させてくれる。
熱心なクイーンファンというわけでもない自分が言い切ってしまうのもどうかとも思うが、もうこれだけで良いじゃないか。

史実を追いたいだけならばクイーンレベルになれば前述のようなテレビドキュメンタリーでも本でもネットでもいくらでもある。
ならば改めてクイーンを映画化するという事の意味は、映画でしか表現出来ない事に振り切るしかない。

そういう意味で映画という規模でしか製作し得ないライブシーンをクライマックスに持って来て、多少史実を捻じ曲げてでもそこに物語を向かわせるという方法は至極真っ当であったと僕は思う。
まぁファンの方にすれば脚色された部分が現実にあった事だと間違えて認識される事を危惧するのも分かるのだけれど。

何にしてもこのライブシーンがとてつもない事は誰もが認めるんじゃないだろうか。
そこに本物のライブ映像でさえ感じ得ない感動があるのは、ステージから見た視線というものがあるから。

(公開直後に下書きを書いたまま放置していた文章です。)
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