Masato

検察側の罪人のMasatoのレビュー・感想・評価

検察側の罪人(2018年製作の映画)
3.2

この日の夜に、プレステのイベントでキムタク主演のゲームが発表され、まさか生でキムタクを見ることになるとは…


重厚な演出はさすが原田眞人監督といったところだが、ストーリーに関してが中途半端で致命的だった。

全体的なストーリー構成・展開が悪い。
前半は静的で後半からは動的になる。大丈夫か?とも思えるような前半のスローテンポから、中盤あたりに一気に加速しだし、それに伴って色々と雑になってくる。ラストに至っては未完とも思えるほどのぶつ切りエンド。私は決して余韻効果を生ませるためのぶつ切りエンドではないと感じた。消化不良極まりない。

原作にある要素(?)を色々と詰め込みすぎて、監督が何を言いたいのかがわからなく、ただ原作にあるものを表面的に描き出したようにしか見えなくて、故に一貫性がなく、無駄が多い。さしあたり、「正義とはなにか?」を提示したかったのだろうが、終始ごちゃごちゃしててそれが本質のテーマには見えない。前述した中途半端なストーリー構成と相まって、もはや原作未読者には意味不明の領域。ただただ意味不明なものを俯瞰して鑑賞するしかなかった。当然だが、本全部をそのまま120分で表現はできない。だからこそ、もっと厳選して一貫性を持たせて欲しかった。

正義とは?というテーマも、最近のアメコミヒーロー映画を見た方が、この映画よりもずっと考えさせられる。

原作ありきなので仕方ないかもしれないが、木村拓哉演じる最上のキャラクターが気持ち悪い。外国人の名前をチェ・グェブァラ、ドゥナルド・トゥランプゥ。などとナルシスト風に言うのが心底気色悪い。エリートですよ感丸出しのナルシストとか最悪のキャラクター。正義と正義が対峙するのが趣旨で映画作るのなら、もっと好感を持てれるようなキャラにすべき。あとは、ラストの二宮の藤原竜也化。あれは、本当に意味がわからない。

ただ、悪いところだけではなく、原田監督の重厚でリアリズム重視の演出は素晴らしい。終始緊張感を持続させ、その緊張感を度々爆発させるように緩急をつける。音楽を心情の切り替わりに使っているのが、素晴らしかった。

キムタクもニノも演技はすごい。予告編の時点では、二宮の演技がオーバーアクトかな?と思っていたが、実際に見てみると自然かつ思った以上に迫真で素晴らしい。

演出とキャストの演技は良いだけに、すごく惜しい。
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